近郊農業とは
近郊農業と園芸農業の違いって?
つまり、園芸農業には、都市の近郊で行われていないものもあるのです。都市から離れたところで行われ、輸送されて都市に出荷される園芸農業は「輸送園芸農業」といわれます。
近郊農業が盛んな場所はどこ?
関東では
関東平野は日本一広い平野で、野菜が多く生産されていますが、近郊農業が特に盛んといえるのは、茨城県、千葉県でしょう。茨城県は全国有数の農業県でハクサイ、レンコン、ピーマンなど数多くの作物で全国一の出荷量を誇っています。千葉県ではサヤインゲン、エダマメ、シュンギクなどの作物が栽培されており、ホウレンソウは関東で一番出荷されています。千葉県流山市で祖父母の畑を継いで、短期間のうちに売り上げの大幅アップを成し遂げた森田昌さんの体験談
関西では
近畿地方では、各府県ごとに特色ある農業を行っていますが、近郊農業が特に盛んといえるのは、大阪府、京都府、兵庫県でしょう。大阪府では小松菜、京都府ではホウレンソウ、兵庫県ではレタスの出荷が、それぞれ関西で一番多いです。大阪府では、府内でまとまった生産量があり、独自の栽培技術で生産されている農産物のことを「なにわ特産品」、基準を満たす伝統野菜を「なにわの伝統野菜」としてブランド化を進めています。兵庫県では肉用牛など畜産も盛んです。参考:農林水産省「平成29年野菜生産出荷統計」
「日本一のタマネギを作る!」と淡路島に移住し、売り上げを7,300万円まで成長させた迫田さんの体験談
近郊農業で出荷されるものは?
東京で農家を目指すための学校
近郊農業のメリットとデメリット
近郊農業のメリット
輸送コストが抑えられる
まず、輸送に時間がかからないことです。鮮度の高い状態を保ったまま、野菜を市場や顧客に届けることができます。また、輸送費も抑えられます。顧客との距離が近い
顧客との距離が近いので、レストランに卸したり、イベントに出店したりと直接的な販路を確保する機会が豊富です。そのような販路では、顧客の反応を直接得ることができるので、生産者のモチベーションにつながります。また、貸農園や体験農園を営む場合も、都市住民が訪れやすいといえます。一人で年間140種類の野菜を栽培し、レストランに販売する千葉県のタケイファーム
多様な商品を求める消費者がいる
消費者が多いということは、それだけ多様な消費者がいるということにつながります。価格よりも品質や、ストーリー性のある商品を重視する消費者もいるでしょう。多様なニーズに合わせた生産ができることも近郊農業の魅力です。新たに農業を始めるときに移住のハードルが低い
農業を始めるにあたり都市から地方へ移住する場合に比べ、転居や地域に溶け込む努力などの負担が少ないといえるでしょう。近郊農業のデメリット
農地の確保が難しい
都市部では農地が限られているため、新規就農を考える場合にはその確保が難しいです。また、農地を買う場合にも、借りる場合にも地方よりコストがかかります。農地の確保が限られると、大量生産も難しくなります。生活費、人件費が高い
都市近郊では、生活費や人件費が地方よりも割高になります。埼玉県所沢市で、周囲との信頼関係を着実に築きながら農地を広げてきた野村さんの体験談
近郊農業のこれから
また、農林水産省では障がい者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組「農福連携」を推進しています。これは、近郊農業だけのものではありませんが、都市に近ければ、多くの人の参加が可能です。
子どもや働き盛りの世代にも、身近に土や畑がある生活は癒しをもたらします。近郊農業はこれから食料の出荷以上の価値を生み出すものとして、注目されていくかもしれません。