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ボタニカルショップ「NEO GREEN 渋谷」オーナー
白田 仁「趣味の園芸」テキストで、園芸ダイアリーの観葉植物を担当し、執筆・監修を2年間務める。そのほか、インテリアグリーンに関する本の監修も多数。店舗で扱う植物は、全て自身の目で厳選し、鉢合わせしたもの。植物とかわいらしいネコ達との暮らしが垣間見れるインスタグラムは必見! HP:http://www.neogreen.co.jp/ Instagram:https://www.instagram.com/neo_green/…続きを読む
1,000種類以上の種類があるといわれるユーフォルビア。育て方によってさまざまな樹形を楽しむことができるので、ユーフォルビアを専門に育てるコアなマニアもいるほどの奥深い多肉植物です。コツをつかんだらとても育てやすい品種なので、初心者の方にもおすすめです。
ユーフォルビアとはどんな植物?
ユーフォルビアはトウダイグサ科トウダイグサ属の植物です。地球上の至るところに自生する植物で、日本の山野にも分布しています。ユーフォルビアには低木や一年草、宿根草、多肉植物などの形態があり、クリスマスでおなじみの「ポインセチア」や、地植え用のカラープランツとして人気の「ダイアモンドフロスト」や「ブラックバード」「白雪姫」「ウルフェニー」「ゴールデンレインボー」もユーフォルビアの仲間です。ここではユーフォルビアの中でも多肉植物に分類される種類について解説します。4,000種以上のユーフォルビアの中で、1,000種以上といわれる多肉質な種類の大部分はアフリカ大陸原産です。原産地の過酷な環境に順応することで、とてもユニークな形に進化した植物です。
ユーフォルビアの特徴
暑さと乾燥に強い
アフリカの砂漠をメインとした環境で自生する植物なので、暑さと乾燥にはとても強いです。その反面、寒さには比較的弱いものが多いです。乳液には毒性が
ユーフォルビアは茎や葉、根に白い乳液を持っていて、傷が付くと大量に出て固まります。この乳液には毒性があり、草食動物に食べられないように発達したといわれています。肌に付くと炎症する場合があるので注意が必要です。乾いてしまうと水だけでは洗い流せないので、せっけんをお使いください。ユーフォルビアの花
ユーフォルビアは冬から春にかけて開花します。種類によって、赤やオレンジ、黄色、ピンク、緑色の花を咲かせます。花は不定期に咲きますが、夏場の水やりを抑えると開花しやすいようです。花言葉
ユーフォルビアの花言葉は「ひかえめ」や「明るく照らして」など。 これは和名の「トウダイグサ」が灯台(燈台)にかけられていることに由来しています。ユーフォルビアの種類
数あるユーフォルビアの中でも、育てやすく通販でも手に入りやすい人気品種を厳選しました!1. 人気の球形多肉!オベサ
2. サボテンでありません!ホリダ
3. 幽霊多肉のホワイトゴースト
4. まるで珊瑚!オンコクラータ
5. 小さなパイナップル?峨眉山(カビザン)
6. ゴージャスなフォルムが人気!マハラジャ
7. スタイリッシュでちょっと不思議!ミルクブッシュ
8. 風格あるコレクターズ多肉のグロボーサ
ユーフォルビアの育て方
鉢植えの置き場所や日当たりは?
一年を通して、日当たりと風通しの良い場所で育てましょう。ただし、強い直射日光は苦手なので、真夏は明るい日陰で管理します。春から秋は、室内でも屋外でも育てることができます。寒さには強くないので、冬は室内が良いでしょう。最低気温は5℃まで耐えられますが、10℃を下回ったら室内に取り込んだ方が無難です。
水やりの頻度は?
春から秋の生育期は、土の表面がしっかりと乾いてから水を与えます。鉢の底から水が出るまでたっぷりとあげてください。乾燥には強い反面、加湿に弱いので水のあげ過ぎは禁物です。屋外で育てる場合、1~2日は雨ざらしでも大丈夫ですが、梅雨や秋の長雨の時期は雨の当たらない場所で育てましょう。
室内でも育てられる?
日当たりと風通しの良い環境なら、室内でも育てることができます。日が当たりにくい場所では、葉が細くなったり、株が間延びしたりしてしまうので、できるだけ日の当たる場所で育ててください。また、ユーフォルビアは乾燥した環境を好みますが、エアコンの風が直接当たる場所では極度に乾燥し、葉が枯れてしまう場合があるのでご注意ください。どうしてもエアコンの風が当たり続けてしまう場合は、霧吹きなどでケアしてあげましょう。
ユーフォルビアの植え替え
植え替えのタイミングは?
植え替えの目安は1〜2年に1回です。鉢の中が根でいっぱいになると、根詰まりを起こしてしまうので、適宜、一回り大きな鉢に植え替えましょう。最適期は5〜6月の、最低気温が20℃以上を維持できる時期です。土づくりは?
ユーフォルビアは乾燥した用土を好むので、水はけの良い土に植えましょう。市販の多肉植物用の用土が手軽です。一般的な培養土を使用する場合は、赤玉土を半分ほどブレンドすると水はけが良くなります。水はけが悪いと、夏場の高温期に株が蒸れて腐ってしまうことがあります。植え替えのやり方
枯れた葉があるようでしたら、株を傷つけないように、葉の根元をやさしく揺すりながら取り除きましょう。枯れた葉が付いたままだとカビや病害虫が発生してしまうことがあります。ユーフォルビアは清潔で新しい土を好むので、古い土はできるだけ落とします。ただし、白い根はとてもデリケートです。切れてしまうと生長が一時的に鈍ってしまうので、土を落とす際は無理のない範囲で行います。古い根は簡単に取れるものがあれば取り除いてください。
植え付け後の管理
植え付け直後の株は、根の環境の変化により、ストレスがたまっている状態です。すぐに日当たりの良い場所に置くと株が疲れてしまうので、数日は明るい日陰で管理して、少しずつ日当たりの良い場所に移してあげると良いでしょう。また、花や野菜などの一般的な園芸では植え付け後に水やりをしますが、ユーフォルビアなどの多肉質な植物の水やりは1週間ほど控えましょう。植え付け直後は、どうしても根に傷が付いてしまいます。そのため、すぐに水やりをしてしまうと、根の傷から菌が入って株が弱ってしまうことがあるのです。
ユーフォルビアをきれいに育てるコツ
鉢回し
ユーフォルビアは明るい方に向かって葉を伸ばすので、鉢の向きを固定した状態で育てると株の形が偏ってしまいます。水やりをするときなど、定期的に鉢を90~180°くらい回してあげると、バランス良く育ちます。また、葉が込み合って日が当たりづらい箇所があっても、鉢を回して角度を調整してあげれば、部分的な日照不足も防ぐことができます。
置き場所のローテーション
鉢を置きたい場所の日当たりが悪い場合におすすめなのが、置き場所のローテーションです。2鉢用意して、片方は日当たりや風通しの良い場所で育てて、もう片方はお好みの場所に飾ります。数日から1週間ごとに場所を交代してあげると、日照不足による株の徒長を軽減することができます。シャワーと水滴飛ばし
水やりの時に株全体にシャワーのように水をかけて、葉をきれいにしてあげましょう。ホコリや土汚れをきれいにするだけでなく、乾燥を好む害虫の予防にもなります。ただし、白粉のある品種は注意が必要です。白粉はワックスのように水をはじきますが、ホースなどで水圧がかかってしまうと白粉が剥がれ、シミができてしまうことがあるのです。
また、シャワーの後に残る水滴にもご注意ください。残った水滴はレンズや虫メガネのように光を集めて、葉や茎を焼いてしまうことがあります。ストローがあれば水滴をピンポイントで吹き飛ばすことができます。カメラのレンズ用のブロアも便利ですよ。
ユーフォルビアの増やし方
株分け
ユーフォルビアの多くは、生長すると根元から子株が出てきます。春の植え替えのタイミングで、子株に根が出ていたら取り外して植え付けます。子株は親株についているほうが、栄養を吸収しやすく生長も早いのが特徴です。もし根が出ていないようでしたら、翌年以降に取り外しましょう。
挿し木
ホワイトゴーストやミルクブッシュなど、茎が伸びるタイプのユーフォルビアは挿し木で増やすことができます。5〜8月の生育期が適期です。茎を10cmの長さに切ったら、切り口から出る樹液を水で洗い流し、清潔な用土に挿します。枝がぐらつかないようすると根付きやすくなります。支柱や割りばしを使ってしっかり固定してあげましょう
ユーフォルビアのトラブル対処法
株がしわしわにしぼむ
水不足が一番の原因です。週に1度は土の乾き具合をチェックしてあげましょう。水やりは鉢の底から水が出るくらいたっぷりと。ただし、きちんと水やりをしているのに葉がしぼむ場合には、根腐れの可能性があります。その際は思い切って鉢から抜いて、元気な茎や根だけ残して植え替えます。
葉の色が悪くなった
ユーフォルビアは日当たりが悪いと葉の色がくすんでしまいます。また、夏場の直射日光のように、日差しが強過ぎても葉の色が悪くなります。最低気温が10℃を下回る時期は、寒さで傷んでしまう場合もあります。季節に応じて適切な環境で育てましょう。また、葉の色が黒ずんでいるようなら腐敗の可能性があります。そのままにしておくと茎や株全体も傷んでしまうので、疑わしい部位は取り除きましょう。
注意したい害虫
ユーフォルビアは害虫に強い植物ですが、カイガラムシが発生する場合があります。見つけ次第、ブラシやティッシュで取り除きます。卵が残っていることもあるので、しばらくはこまめにチェックします。また、カイガラムシは暗く風通しの悪い場所を好むので、葉の裏や付け根に隠れていることもあるので、普段からよく観察してあげましょう。
ビギナーにもおすすめ!ユーフォルビアを育ててみましょう
乾燥に強く、丈夫で育てやすいユーフォルビアは初心者の方にもおすすめです。とにかく種類が多い多肉植物なので、お気に入りの1株を探すのも楽しみのひとつ。男性の心をくすぐるような、シックでハードな雰囲気の品種も豊富です。コツをつかんだらレアな品種にもチャレンジしてみてください。