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ボタニカルショップ「NEO GREEN 渋谷」オーナー
白田 仁「趣味の園芸」テキストで、園芸ダイアリーの観葉植物を担当し、執筆・監修を2年間務める。そのほか、インテリアグリーンに関する本の監修も多数。店舗で扱う植物は、全て自身の目で厳選し、鉢合わせしたもの。植物とかわいらしいネコ達との暮らしが垣間見れるインスタグラムは必見! HP:http://www.neogreen.co.jp/ Instagram:https://www.instagram.com/neo_green/…続きを読む
個性的なフォルムが魅力のアロエは、多肉植物マニアにも人気のコレクターズプランツ。強健な性質で育てやすいので、初心者の方にもおすすめです。筆者もこちらでご紹介する人気の種類をメインに、ちょっとレアな品種や交配種を30種類ほど育てています。
アロエとはどんな植物?
アロエはツルボラン亜科アロエ属の植物です。これまでユリ科やアロエ科とされてきたこともありますが、現在ではツルボラン亜科に分類されています。多年草または、低木や高木になる多肉植物で、約500種以上が確認されています。アフリカ大陸南部やマダガスカル島をメインに分布。日本ではキダチアロエが九州、瀬戸内海、伊豆半島、房総半島などの海岸に自生しています。
アロエの特徴
暑さにも寒さにも強い丈夫な植物です。日当たりの良い場所を好み、乾燥にも耐えられる多肉植物の仲間です。茎が高く伸びるものや、茎がとても短く、葉が根から直接生えているように見えるものなど、種類によって多様な育ち方をします。名称は、葉の汁に苦みがあることから、古代アラビア語のalloeh(苦みのある)に由来したといわれています。
アロエの花
アロエは冬から春にかけて開花します。株から花穂を伸ばして、赤やオレンジ、黄色、ピンク色などの花を咲かせます。花は不定期に咲きますが、夏場の水やりを抑えると開花しやすいようです。花言葉
花言葉は「健康」や「万能」など。別名「医者いらず」といわれるアロエの効能がそのまま花言葉になりました。アロエの食べ方・使い方
効能
ジュースやヨーグルトなど、健康食品としてもおなじみのアロエ。古代ギリシアや古代ローマでは薬用植物として栽培されていました。胃腸痛や抗炎症、便秘など多くの効能があるとされ、日本でも江戸時代には薬草として知られていたようです。また、アロエには菌の繁殖を抑えて、炎症を和らげる効果もあるといわれています。私は幼いころ、虫歯で歯が痛むと祖母にアロエを噛まされました。
参考:森永乳業のアロエステロール(R)研究
食べ方
食べ方は簡単です。アロエベラなどの食用アロエの葉の皮を剥いたら、お好みの大きさにカットして熱湯で1~2分ゆでるだけ。そのままサラダや和え物で食べることができます。食用アロエはスーパーや八百屋さんでも販売されています。下処理の際、トゲにはご注意ください。ジェルや化粧水に!化粧品としての使い方
ジェルやシャンプー、ハンドクリーム、パック、軟膏、化粧水など、美容素材としても有名なアロエ。食用アロエは肌に優しい成分で、保湿効果があり、傷や火傷にも良いとされてきました。作り方も簡単です。トゲを取り除いたアロエをすりおろして、ガーゼでこせば化粧水のできあがり。水で伸ばせばスキンケアやヘアトニックとして使えます。
アロエの種類
1. 食用アロエといえば!ベラ
2. 古くから愛される薬用キダチアロエ
3. 木になるアロエのディコトマ
4. 魅惑の肉厚!フェロックス
5. 希少なスパイラルアロエ ポリフィラ
6. 別名タイガーアロエ!千代田錦
7. コンパクトなバラ咲きタイプ 千代田姫
8. 涼しげブルーのペグレラエ
9. 優美な木立ちタイプ プリカティリス
アロエの育て方
鉢植えの置き場所や日当たりは?
春
春は生長期のスタートシーズンです。アロエは日当を好む植物なので、できるだけ日当たりの良い場所で育てましょう。屋外の風通しの良い場所が理想的です。夏
梅雨の時期に屋外で育てる場合は、長雨に注意します。アロエは乾燥を好むので、土が湿った状態が続くと根腐れの原因になります。雨除けのある風通しの良い場所で育てましょう。真夏は直射日光を避けて、午前中まで日が当たる場所が好ましいです。秋
春と同じく、日当たりと風通しの良い場所で育てましょう。ただし、秋の長雨にはご注意ください。数日雨が続くようなら、雨ざらしを避けて管理しましょう。冬
陽が短くなる季節ですが、一日に最低でも3~4時間は日が当たるように管理しましょう。天気の良い日は屋外で日光浴をさせてあげましょう。断水すると0~3℃まで耐えられますが、最低気温が5℃を下回るようになったら、室内に置いた方が無難です。アロエは寒さに強い植物ですが、霜や凍結によって葉が傷んでしまうことがあります。水やりの頻度は?
春
土がしっかりと乾いたら、鉢底から水が出るまでたっぷりと水をあげましょう。鉢の中の乾き具合は竹串などを用土に挿してみるとわかりやすいです。土の表面が乾いていても、鉢の中が湿っている場合は乾くまでしっかり待ちましょう。夏
基本は春と同様です。ただし、梅雨は土が乾きにくくなるため、水やりの回数を減らしたほうが無難です。また、できるだけ夜明けから早朝、または夜間の涼しい時間帯をおすすめします。夏場の日中に水やりをしてしまうと株が蒸れてしまうので避けましょう。秋
基本は春と同様です。ただし、気温が10℃以下になると生長が止まり休眠期に入るので、水やりの回数を減らしていきます。冬
屋外で育てる場合は月1~2回ペースになります。室内で育てる場合も、基本は乾燥気味に育てます。土の表面がしっかりと乾いてから数日後に水やりをします。冬の水やりは日中の温かい時間がおすすめです。寒さに強い品種は?
一般的な観葉植物と比較すると、アロエは寒さにとても強く、乾燥気味に管理すれば最低気温5℃くらいまでなら耐えられます。特に寒さに強い品種は、キダチアロエやベラが代表的。ただし、株がまだ小さいようなら、真冬は温室や室内で育てたほうが無難です。室内でも育てられる?
日当たりと風通しの良い環境なら、室内でも育てることができます。日が当たりにくい場所でも育ちますが、葉が細くなったり、株が間延びしたりしてしまうので、できるだけ日の当たる場所で育ててください。また、アロエは乾燥した環境を好みますが、エアコンの風が直接当たる場所では極度に乾燥し、葉が枯れてしまう場合があるのでご注意ください。どうしてもエアコンの風が当たり続けてしまう場合は、霧吹きなどでケアしてあげましょう。
アロエの植え替え
植え替えのタイミングは?
2年に1回が目安になります。アロエは根の生長が早いので、植え替える際は1サイズ大きめの鉢に植え替えます。また、アロエの根は下に伸びやすいので、高さのある鉢がおすすめです。植え替えの時期は、生長期に入る春が適期です。真夏や休眠期の冬の植え替えは、株に負担がかかってしまうので避けたほうが良いでしょう。9月までは植え替えが可能ですが、春に植え替えたほうが秋までに株が丈夫になるので、冬越しも安心です。
土づくりは?
アロエは乾燥した用土を好むので、水はけの良い土に植えましょう。市販の多肉植物用の用土が手軽です。一般的な培養土を使用する場合は、赤玉土を半分ほどブレンドすると水はけが良くなります。水はけが悪いと、夏場の高温期に株が蒸れて腐ってしまう場合があるのでご注意ください。植え替えのやり方
枯れた下葉があるようでしたら、株を傷つけないように、葉の根元をやさしく揺すりながら取り除きましょう。枯れた葉が付いたままだとカビや病害虫が発生してしまうことがあります。アロエは清潔で新しい土を好むので、古い土はできるだけ落とします。ただし、白い根はとてもデリケートです。切れてしまうと生長が一時的に鈍ってしまうので、土を落とす際は無理のない範囲で行います。古い根は簡単に取れるものがあれば取り除いてください。
植え付け後の管理
植え付け直後の株は、根の環境の変化により、ストレスがたまっている状態です。すぐに日当たりの良い場所に置くと株が疲れてしまうので、数日は明るい日陰で管理して、少しずつ日当たりの良い場所に移してあげると良いでしょう。また、花や野菜などの一般的な園芸では植え付け後に水やりをしますが、アロエなどの多肉質な植物は1週間は水やりを控えましょう。植え付け直後は、どうしても根に傷が付いています。そのため、すぐに水やりをしてしまうと、根の傷から菌が入って株が弱ってしまうことがあるのです。
3つのアロエをきれいに育てるコツ
1. 鉢回し
アロエは明るい方に向かって葉を伸ばすので、鉢の向きを固定した状態で育てると株の形が偏ってしまいます。水やりをするときなど、定期的に鉢を90~180°くらい回してあげると、バランス良く育ちます。また、葉が込み合って日が当たりづらい箇所があっても、鉢を回して角度を調整してあげれば、部分的な日照不足も防ぐことができます。2. 置き場所のローテーション
鉢を置きたい場所の日当たりが悪い場合におすすめなのが、置場所のローテーションです。2鉢用意して、片方は日当たりや風通しの良い場所で育てて、もう片方はお好みの場所に飾ります。数日から1週間ごとに場所を交代してあげると、日照不足による株の徒長を軽減することができます。3. シャワーと水滴飛ばし
水やりの時に株全体にシャワーのように水をかけて、葉をきれいにしてあげましょう。ホコリや土汚れをきれいにするだけでなく、乾燥を好む害虫の予防にもなります。ただし、白粉のある品種は注意が必要です。白粉はワックスのように水をはじきますが、ホースなどで水圧のシャワーをしてしまうと白粉が剥がれてしまったり、シミができてしまうことがあるのでご注意ください。また、シャワーの後に残る水滴にもご注意ください。残った水滴はレンズや虫メガネのように光を集めて、葉や茎を焼いてしまうことがあります。ストローがあれば水滴をピンポイントで吹き飛ばすことができます。カメラのレンズ用のブロアも便利ですよ。
アロエの増やし方
株分け
アロエの多くは、生長すると根元から子株が出てきます。春の植え替えのタイミングで、子株に根が出ていたら取り外して植え付けます。子株は親株についているほうが、栄養を吸収しやすく生長も早いのが特徴です。もし根が出ていないようでしたら、翌年以降に取り外しましょう。挿し木
キダチアロエのように茎が伸びるタイプのアロエは、挿し木で増やすことができます。適期は5~9月です。切り取った茎は切り口から水分がたくさん出ますので、日陰で切り口をしっかりと乾かしてから用土に挿します。切り口を乾かさないと、雑菌が入って腐ってしまう場合があります。アロエのトラブル対処法
葉が薄くなった
水不足が原因です。アロエは乾燥に強い植物ですが、生育期は土がしっかり乾いたら水をたっぷりあげましょう。冬場に室内で管理する場合も、室温が10℃を保たれる場合は休眠せずに生長します。その場合は、水やりのペースを調整してください。葉の色が悪くなった
日照不足が主な原因です。アロエの葉の美しさは、日当たりが良いほど引き立ちます。葉の色が悪くなってしまった株は、真夏と真冬以外は屋外や屋外に近い日当たりの良い環境で管理してあげましょう。日当たりはもちろんですが、1日程度でしたら雨ざらしにしたり、冬の日中に寒さに当てることも効果的です。ある程度の負荷を与えることで、株が強くなり本来の葉色が戻ります。
葉の色が赤くなる?
秋に紅葉する品種がありますが、それ以外の時期に赤くなる場合は水不足や根詰まりの可能性があります。根にストレスが溜まると株が消耗して枯れてしまうことがあるので、季節に合わせた水やりや植え替えを行いましょう。葉が枯れてきた
株の下の葉から枯れるのは自然なことですが、著しく枯れ葉が目立つ場合は根腐れの可能性があります。その場合はいちど鉢から株を抜いて、根を点検します。根が傷んでいたら、火であぶったカッターや使い捨てのカミソリで傷んだ箇所をきれいに取り除きます。約1~2週間ほど日陰で切り口を乾燥させてから、新しい土に植え替えましょう。また、アロエは冬になると葉の縁が枯れてくることがあります。これは寒さに耐えるために葉の表面積を減らす現象と考えられています。ただし見た目が悪くなるので、きれいに育てたい場合は、室内に移動したほうが良いでしょう。
虫が出た
アロエは害虫に強い植物ですが、カイガラムシが発生する場合があります。見つけ次第、ブラシやティッシュで取り除きます。卵が残っていることもあるので、しばらくはこまめにチェックします。また、カイガラムシは暗く風通しの悪い場所を好むので、葉の裏や付け根に隠れていることもあるので、普段からよく観察してあげましょう。