ここでは主に、トンネル栽培の基本と資材の選び方をご紹介します。
実践編はこちら。
トンネル栽培とは
畝をU字の支柱で囲い、その上からビニールなどの被覆資材をかぶせることで野菜を寒さや虫から守りながら育てる栽培方法です。特に露地で秋から冬にかけて葉物野菜を収穫したいときは必須です。長いものでは半年以上ビニールで被覆する場合もあります。トンネル作りが甘いと強風や積雪のたびに張り直し作業をしなくてはいけません。まずはきっちり強いトンネルを作れるようにしましょう。
トンネル栽培に向く場所、向かない場所
トンネル栽培は主に葉物栽培が盛んな平野部で用いられる栽培方法です。丘山岳地域、豪雪地域はもちろん、平野部でも海沿いで風速15m/秒以上の海風やビル風が頻繁に吹く地域などは一般的にはトンネル栽培に向きません。そのような地域ではハウス栽培やベタ掛けによる被覆栽培が行われます。トンネル栽培用の資材や張り方も地域の積雪量や冬場の風速により異なります。
ここでは千葉県内陸部での方法をご紹介しますが、資材を購入したり、実際にトンネルを張る前に、まずは近くに農地があればそこでトンネル栽培しているか、どんな張り方をしているか確認してみると良いでしょう。
強いトンネル作りのコツ
支柱は太さがポイント
トンネルの支柱には主に金属製で重みのある鋼管支柱と樹脂製の支柱の2種類があります。樹脂製のものの方が軽く、保管や持ち運びが楽なので私はこちらがおすすめです。10m以上のトンネルを作る場合は風や多少の積雪にも負けない強度が必要です。鋼管支柱は直径10mm以上、樹脂製支柱は8mm以上のものを使うようにしましょう。強い支柱を使うことで単価は高くなりますが、1本の畝に使用する支柱の数は減らすことができますし、長持ちするのでコスト削減にもなります。
私の場合、支柱は1.2~1.5m間隔で挿しています。
被覆資材は強度と通気性で選ぶ
私の経験ではトンネル作りの失敗原因で最も多いのが被覆資材選びの失敗です。被覆ビニールは100円ショップでも売られていることもあって、適当に買ってしまったという人も多いのではないでしょうか。強度
安い被覆資材は数百円から購入できますが、大抵1シーズン(数カ月)持たないことが多く、買い替えていたら高くついてしまったということも…。一方、高い資材でも10年以上使っているから1年分で換算すると相当安いという強者もいるので、値段だけでなく長く使える強度を確認するようにしましょう。通気性
被覆資材の性能面で、最も大事なのは保温性と通気性です。保温性は霜や凍結から野菜を守る機能ですが、これだけでは日中ビニール内が高温多湿になり葉焼けや病気が起こりやすくなります。適度な通気性のある被覆資材は品質の良い葉物野菜ができますし、朝晩の換気作業としてサイドを開閉する必要がなく、管理作業軽減にもつながります。保温性と通気性をうまく両立しているトンネル資材としておすすめなのが下の2つの資材です。また、トンネルのアーチ部分にかぶせたときにサイドの裾が10cm以上余る長さにすると土寄せがしっかりとできます。被覆資材を購入する際は、余裕のある長さを選びましょう。
被覆資材を押さえる3つの方法
被覆資材をかぶせ終わったら、まずビニールのサイドに土寄せをしてバタつきを押さえます。その次にトンネルの上からさらにビニールを留めていきます。被覆したビニールを留める方法にはトンネルパッカー、マイカー線とU字ピン、樹脂支柱の3種類があります。トンネルパッカーで留める
10m以下の場合は、トンネルパッカーで十分留めることができます。マイカー線とU字杭で留める
畝が40m以上で長い場合は、マイカー線を畝に沿ってU字杭を使いジグザグに留めていきます。U字杭の長さは関東ローム層の分布する地域の場合、30cm程度は必要です。樹脂支柱で留める
畝の長さが40m程度であれば、樹脂支柱を使ったとめ方だと葉物野菜の収穫などが楽になるのでおすすめです。葉物野菜は収穫のたびにトンネルを開けてまた閉める作業が必要になることがあります。マイカー線を使った場合は一度緩めると締め直す作業をやり直さないといけませんが、樹脂支柱の場合はその部分だけ支柱を挿し直すだけで済むので便利です。
トンネル作りは秋~冬の野菜作りのカナメ
秋の台風や冬の霜で野菜がやられてしまったという人は多いのではないでしょうか。一度トンネル作りができるようになれば、そういった厳しい気象条件でも品質の良い野菜を安定して作ることができ、自信もつきます。これまでやったことがないという方は、ぜひ今年の秋冬にトンネル作りを試してみてはいかがでしょうか。