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東京農業アカデミー第2期生インタビュー「東京の農業を盛り上げて次世代につなげたい」中村早緒理さん

東京農業の担い手を育てるために、東京都が設立した「東京農業アカデミー」。個性豊かな第2期生にインタビューしてきました。 今回は農業高校、東京農業大学を経て就職後、東京農業アカデミーに入学した中村早緒理さん。中村さんが、なぜ農業を志したのか、研修の印象、将来のビジョンなどを伺いました。


中村早織理さん
撮影:上溝恭香
東京の農業の担い手を育成するため、2020年に誕生した東京農業アカデミー。第2期生として学ぶ中村早緒理さんに、就農を目指す理由、研修の印象、将来のビジョンなどを伺いました。

入学前|農業高校から東京農業大学、就職を経て新規就農の道へ

中村早織理さん
撮影:上溝恭香

高校進学時には「農業に関係する職」を意識していた

中村さんは、農業高校、東京農業大学と農業を学ぶ学校に在籍してきました。高校に進学するときには、すでに農業に関係する職に就こうという考えを持っていたと言います。
中村早緒理さん
中村早緒理さん
直感的に、畑にいることが好き、飽きずにいつまでもいられると感じていました。この数十年で大企業が無くなったりするような流れもありましたが、農業は遠い昔から続けられてきたこと。今後も未来まで続く仕事だと思いました。

仕事をしながら援農ボランティアに参加

大学卒業後は直接就農することはせず、イベント会社やスーパーの青果売り場での仕事をしながら、援農ボランティアをしていた中村さん。折に触れて、この先50年続けられる仕事を考えるなら、新規就農が一番いいのではないかと考えるようになりました。

東京農業アカデミーの設立を知り、入学を決意

中村早織理さん
撮影:上溝恭香

ボランティア仲間から聞いた東京農業アカデミー設立

そんなある日、中村さんは援農ボランティアを一緒にしている新規就農を目指す仲間から、東京農業アカデミーが設立されるという話を聞きました。新規就農についてより多くの情報を集めようと、一般社団法人 東京農業会議を訪れて相談をしたところ、「2年は研修が必要、明確な目標が定まっていないのなら、東京農業アカデミーで勉強する方法がある」と勧められました。東京農業アカデミーを運営する公益財団法人東京都農林水産振興財団の農業体験研修にも参加。自分で農業をやってみたいという気持ちがますます高まっていきました。

「完全武装」の状態で就農しよう

中村さんは、「栽培から販売まですべて勉強してから農業を始めよう」という思いで東京農業アカデミーへの入学を決意しました。そして、卒業するときには必要な知識や技術をすべて身に付けて就農しようと考えています。
中村早緒理さん
中村早緒理さん
高校や大学で栽培技術は学んできましたが、学生時代は園芸が専門だったため、野菜については多くを学んできませんでした。自分の手で最初から最後まで野菜を栽培するという経験がなかったので、就農には不安がありました。東京農業アカデミーでいちから学んで、卒業するときには「完全武装」の状態で就農しようと思っています。


東京農業アカデミーでは、栽培計画から植え付け、収穫、商品づくりはもちろん、直売所での販売も経験できます。お客さんの反応まで見られるカリキュラムは中村さんの希望にかなうものでした。

農業経営者になるために知っておくべきこと

中村早織理さん
撮影:上溝恭香

エコ農場での経験

東京農業アカデミーでは、主に、農薬や化学肥料を使う慣行栽培で栽培実習を行っていますが、一部のほ場は農薬や化学肥料を使用しない「エコ農場」となっています。エコ農場では「東京エコ100(東京都エコ農産物認証制度 ※)」に認証される農作物を作ることができます。中村さんは就農後、農薬不使用の野菜を栽培したいと考えていましたが、研修で農薬の有無を比較することにより、農薬のありがたみを知ったと言います。
中村早緒理さん
中村早緒理さん
同じ品種のキュウリを慣行農法と農薬不使用で栽培しているのですが、ベト病という病気になったときに、農薬不使用の方はどのように栽培していけばいいのか悩みました。農薬不使用でも意外と育つのですが、やはり光合成がうまくできていなかったり、葉が小さかったりと育ち方に差が出てきます。


※東京都エコ農産物認証制度:化学合成農薬や化学肥料を削減した農産物を認証する制度

どんな状況でも対応できるようになりたい

研修の中で、「農薬防除指針」という本を使ったり、農薬庫を見たり、散布方法を学んだり、農薬のことをしっかりと学ぶ機会があります。中村さんは農薬不使用の栽培を目指しながらも、経営という観点から、農薬の使用にはバランスが必要なのではないかと考えるようになりました。
中村早緒理さん
中村早緒理さん
経営者としては、予定している収量が採れないのは辛いと思います。でも、農薬不使用は消費者へのアピールになると思いますし、そのバランスをどのようにとればいいのか考えているところです。まだ自分が借りる農地がどんな農地かわからないので、まずは慣行栽培を試してみて、何の病気もでなければ農薬を減らす工夫をしていけたらいいですね。


農地によって、栽培のしやすさや病気の発生状況などが異なるため、どんな状況でも対応できるような農家になりたいと中村さんは考えています。

わからないことをすぐに聞ける環境、年齢差を感じない仲間

中村さんと研修生同期と指導員
撮影:上溝恭香

自分一人ではわからないことが解決できる

研修は指導員と同期の仲間5人で進めていきます。指導員は受講生に寄り添って、栽培方法などをていねいに指導します。
中村早緒理さん
中村早緒理さん
指導員の先生は病害虫にも詳しくて、心強いです。その場でわからなくても、持ち帰ってすぐに調べてくれます。自分一人ではわからないことも、すぐに結果がわかるので、病害虫のこともタイミングを逃さず学べます。

年齢は違っても「同級生」という雰囲気

中村さんは同期の研修生5人の中で一番の若手。10才以上の年齢差がある受講生もいますが、年齢差を感じることはあまりないと言います。
中村早緒理さん
中村早緒理さん
みなさん若々しいですし、本当に同級生という感じです。仲はいいですね。


ほ場で写真を撮影する際も、研修生のみなさんはお互いに声をかけたり、冗談を言ったりと、とても楽しそうな雰囲気。中村さんは、就農してからも同期の仲間たちと情報交換をしていけると考えています。

就農後のビジョンは?|鮮度重視の直販を目指す

中村早織理さん
撮影:上溝恭香

多品目栽培で経営を安定させ、エディブルフラワーにも挑戦したい

中村さんは都内で借りられる農地に合わせた多品目栽培をしたいと考えています。
中村早緒理さん
中村早緒理さん
どのような農家になるのかは、まだあいまいな部分もあるのですが、直売所におひとり様向けの小パックの野菜などを出荷できたらと考えています。近所の人に取りに来てもらえるような個人向けの野菜セットやカフェなどの店先で販売など、経営判断的に採算があう方法を見つけていきたいです。


コマツナやレタスなどの葉物野菜や夏場は果菜類などで経営を安定させたあと、農園の特色になるものを栽培したいという夢もあります。
中村早緒理さん
中村早緒理さん
農業体験研修で伺った農家はエディブルフラワーを栽培していました。鮮度が重要になる品目ですし、ハウス内なら完全に農薬不使用で栽培できるのではないかと思います。栽培は難しいかもしれませんが、まだ競合農家も少ないと聞いているので、挑戦してみたいです。


野菜は、鮮度が何よりのセールスポイント。農家や直売所が身近ではない東京のような都市では、その価値はより高まります。鮮度に着目して採算のとれる方法を考えることは、東京での農業経営に欠かせない視点なのでしょう。

小学生のころ、自由研究でエジプト文字のヒエログリフの翻訳に挑戦したという中村さん。そのころから、悠久の昔から今に続くこと、そして次世代に何を残せるかを考えていたそうです。その中村さんが選んだ仕事は東京での農業。「東京農業アカデミーの卒業生は1年で5人ですが、数年経てば新規就農グループとして大きな存在になりますよね」とほほ笑む姿は穏やかですが、自分たちが東京の農業を盛り上げていくという気概を感じさせるものでした。

東京農業アカデミー八王子研修農場
概要:就農希望者を都市農業の担い手として育成することを目的として東京都が開設した研修農場
対象:18歳以上で都内で就農を目指す人(毎年5名程度を受入れ)
研修農場 : 八王子市大谷町(約20,000㎡)
研修期間 : 2年間(年間約220日)
問い合わせ:東京農業アカデミー八王子研修農場 042-686-1077、東京都産業労働局農林水産部農業振興課 03-5320-4814(直通)

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神山 朋香

大学卒業後、地方公務員として消費者教育や労働福祉の普及事業に従事した後、AGRI PICK編集部に。AGRI PICKでは、新規就農に役立つ情報などを執筆しています。

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