- Akiko Isono
編集者兼ライター。家庭菜園・ガーデニング専門誌の編集に8年間携わり、現在は雑誌やムック、WEBを中心に、植物、農業、環境、食などをテーマとした記事を執筆。好きな野菜はケールとにんじん。…続きを読む
1. ポポーとは?どんな植物?
ポポーは北アメリカ原産のバンレイシ科の植物で、英語名は“PawPaw”。日本では一般的にポポーと呼ばれていますが、「ポーポー」の表記が正しいようです。日本に導入されたのは明治時代と意外に古く、丈夫で育てやすいことから、主に庭木として親しまれてきました。果実の傷みが早いため、出荷用に栽培されることはほとんどなく、「幻のフルーツ」と呼ばれているのはこのためです。近年では、茨城県、島根県、愛媛県などの一部の産地で、出荷用にポポーが栽培されるようになり、知名度も少しずつ上がっています。2. ポポーの食べ方と栄養素
ポポーの果実は薄いグリーンや黄色で、切るとクリームがかった黄色い果肉が現れます。完熟した実は、柿やバナナのようなねっとりした甘みがあり、香りも甘く濃厚。トロピカルフルーツ好きなら、ぜひ一度は味わってみたい果物です。軽く指で押さえてみて軟らかくなっていたら、食べごろの目安。熟すに連れて果皮に黒く変色していきますが、果肉にはあまり影響しません。ただし傷みが早いので、熟したものから早めに食べるようにしましょう。ポポーの食べ方は、皮を剥き、真ん中に並んだ大きな種をよけるように縦に切るか、横に輪切りにしてタネを取り除きながら食べます。皮ごと横半分に切って、スプーンですくって食べるのも手軽でおすすめ。ヨーグルトやアイスクリームに添えてもおいしく食べられます。
ポポーは果物の中でも栄養価が高く、ビタミンCをはじめとするビタミン類、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル類、健康維持に欠かせない各種アミノ酸などがバランスよく含まれています。
3. 苗木の選び方と品種
ポポーの苗には、台木に特定の品種を接ぎ木した「接ぎ木苗」と、種から育てた「実生苗」があります。品種名の付いているものはすべて接ぎ木苗で、実生苗は交雑しているため、果実の大きさや木の性質などは、栽培してみるまでわかりません。ポポーは、同じ木や同じ品種の花粉を受粉しにくい性質があるので、実を収穫するためには、違う品種の苗木を2本以上育てるのが確実です。おすすめ品種
ウェールズ
ペンシルバニアゴールデン
マンゴー
ウィルソン
サスケハンナ
4. 栽培時期と植え付け方
バンレイシ科の植物はほとんどが熱帯や亜熱帯産ですが、ポポーは温帯産で寒さに強く、日本の気候でも十分に育てられます。病気や害虫の心配もほとんどなく、無農薬での栽培も可能です。12月から3月上旬にかけて苗木を植え付け、収穫は9~10月ごろ。苗木の種類や年数にもよりますが、植え付けから収穫できるようになるまでは2~4年掛かります。Step1. 場所選び
庭植えの場合は3m以上、鉢植えの場合は1.5~2mほどの高さに成長します。長く育てるので、建物やほかの植物の邪魔にならない場所を選んで育てましょう。日当たりが良く、強風が直接当たらない環境が栽培に向いています。Step2. 土作り
ポポーの根はまっすぐ下に伸びるので、庭植えでは50cm以上の深さまで土を掘り返します。また、2本以上植える場合は間隔を2m以上空ける必要があるので、十分な面積の土作りをしましょう。水はけが悪い場合は赤玉土、土が乾きやすい場合は腐葉土を加えて改良し、果樹用の配合肥料を元肥として加えます。鉢植えの場合は赤玉土7~8:腐葉土2~3の割合で混ぜ、元肥として果樹用の配合肥料を加えるか、または果樹用の培養土を使います。鉢は直径、深さともに苗のポットよりも1~2回り大きなものを用意しましょう。赤玉土20L 中粒
適度に硬質で、砕けにくい中粒の赤玉土。土の排水性を高める効果があります。完熟腐葉土 20L
草花や庭木、果樹などあらゆる植物に使える完熟タイプの腐葉土。土をふかふかにし、保水力や保肥力を高めます。腐葉土 20L