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- AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む
そんな苔テラリウムが、実は初心者でも作ることができるという情報を聞き、AGRI PICK編集部で挑戦してきました!
苔テラリウム(コケリウム)作りを体験したのはこちら!
苔むすび
「苔むすび」では、手軽に体験できる「苔テラリウムワークショップ」と、継続して本格的に学べる「苔テラリウム講座(苔むすびの会)」を開催しています。動画教室やオンライン教室も!
住所:〒248-0014 鎌倉市由比ヶ浜2丁目4-22
営業時間:10:30~17:00
店舗営業日:水・土・日(教室は営業日以外も開催)
E-MAIL:[email protected]
WEB-SITE:https://kokemusubi.com/
園田純寛さん
北海道大学大学院卒業(農学修士)。大学では苔を含む植物の生理生態、微生物との関係を研究。メーカーで研究開発に従事した後、独立し、「苔むすび」として活動を始める。
著書:『はじめての苔テラリウム』(成美堂出版)
苔テラリウムの魅力とは
凝縮された自然の景色
苔テラリウムの魅力は、何と言ってもその独特の世界観!小さなガラス容器の中に、自然の野山を凝縮して閉じ込めたような風景が広がり、眺めているだけで心がほっと癒されます。小スペースでOK
苔テラリウムは小さな容器でも作ることができるため、デスクの上や棚の片隅など、ちょっとしたスペースがあれば楽しめるのも魅力です。苔の生長を楽しめる
苔はもちろん生きた植物なので、育てる楽しみが味わえるのも醍醐味。生長スピードは遅いため、姿が崩れにくく、2年ほどはそのままの状態を保ってくれます。苔テラリウムに必要な材料
基本の材料
容器
透明度の高いガラス容器がベスト。今回は初心者におすすめの、ふたが付いた「クローズド式」の容器を使いました。苔
何種類かあるとレイアウトに動きが出ます。今回使った苔は「クローズド式」の容器に合う4種類。土(ソイル)
雑菌が少なく、粒子の細かい土がベスト。今回の体験では、「苔むすび」オリジナルの配合土を使いました。石(大・中・小)
レイアウトの要となるのが石。サイズを変えて置くと、自然な雰囲気になります。苔テラリウム 富士山の溶岩石
富士山の溶岩石を5個パックにしたセットです。
・セット内容:大×1、中×2、小×2
・サイズ:大/約5~6cm、中/約4~5cm、小/約3~4cm
※天然石のため形や色はランダムになります。
・セット内容:大×1、中×2、小×2
・サイズ:大/約5~6cm、中/約4~5cm、小/約3~4cm
※天然石のため形や色はランダムになります。
砂
アクセントとして、部分的に土の表面を飾るのに使います。アレンジ用にあると良い材料
フィギュア
「苔むすび」ONLINE SHOP
苔テラリウム作りに必要な道具
基本の道具
ピンセット(小)
苔を掴んで土に挿し込んだり、細かい部分を微調整したりするときに使います。苔を1本ずつ植え込む際にも最適。スプーン(小さじ)
土や砂を容器に入れる際に使用。小さいスプーンは、石のすき間など細かい箇所に土を入れ込むときに便利です。ハサミ
苔の基部(根元部分)をカットして、長さを揃えるときに使います。箸などの細い棒
土の表面を慣らすときに使用。先が細い箸は、細かいすき間にも使えるのでおすすめです。水さし
水を注いで土を安定させ、レイアウトを崩しにくくするために使います。たっぷり水やりをしたいときにも便利。霧吹き
作業中に苔が乾燥しないよう、水分を与えるために使用。苔テラリウムの日常管理にも必須のアイテムです。さらにあると便利な道具
ピンセット(大)
苔を何本か束ね、一気に土に挿し込むときに便利。小さいピンセットより掴みやすいので、初心者におすすめ。スプーン(大さじ)
まとまった量の土を入れたいときには、大さじのスプーンがあると作業がはかどります。はけ
石や容器の壁についた土などを、はけで払ってきれいにします。太めの棒
広範囲の土を圧して安定させたり、表面を慣らすときに使います。実践!苔テラリウムの作り方
必要なものをそろえたら、さっそく苔テラリウム作りを始めましょう!Step1. 土(ソイル)を容器に入れる
Step2. 石をセッティングする
大きめの石を配置
石の色は、黒や茶色、白などいろいろありますが、自分のイメージに合った好みのものを選ぶと良いでしょう。今回筆者は、明るい雰囲気にしたかったので淡い茶色の石にしました!
やや小さめの石を配置
Step3. 土を足す
Step4. 配置の微調整
土を追加したら、全体のバランスをチェック!石の配置を微調整したい場合は、必ずこのタイミングで行ってください。この後は土を湿らせて石を固定するので、動かせなくなってしまいます。Step5. 余分な土を払う
Step6. 石を固定する
全体に水をかけたら、土に水がしっかり染みるまで、1分ほど待ちましょう。
Step7. 土を安定させる
Step8. 苔を配置する
1種類目の苔「ヒノキゴケ」
5本前後の束にしたらピンセットで掴み、土に植え付けます。後ろだけでなく、前方にも配置すると動きが出て面白いレイアウトになりますよ。
2種類目の苔「タマゴケ」
3種類目の苔「オオシラガゴケ」
4種類目の苔「ムチゴケ」
Step9. 飾り砂を入れる
Step10. 小石を配置する
ついに完成!
プロ直伝!じょうずに苔を植え付けるコツ
初心者にとって、とても繊細な苔をピンセットを使って植え付けるのは、なかなか大変な作業です。筆者も、苔テラリウム作りの中で、苔の設置が一番難しいと感じました。そこで、じょうずに苔を植え付けるためのコツを教えてもらいました!Point1. 苔は高さを揃える
Point2. 苔をピンセットで掴むときは平行に
Point3. はみ出た部分はカット
Point4. 箸などで苔を押さえながら植える
Point5. 苔は深めに植え付ける
苔はしっかり植え付けないと、すぐに抜けてしまいます。植え込む深さは、1cmぐらいが目安です。ピンセットごと、苔を土に挿し込んだら十分深く埋まっているか確認しましょう。おしゃれな苔テラリウムを作りたい!レイアウトのコツとは
シンプルなのに、とってもおしゃれで自然に見える園田さんの作品。このようにセンスよく見せるためには、どのようなコツがあるのでしょうか?レイアウトで気を付けるポイントを聞いてみました!Point1. 傾斜をつける
Point2. 配置は自然に
Point3. 苔は種類ごとに分散
Point4. 石と砂の色を合わせる
苔テラリウムに適した土(ソイル)とは?
粒子の細かい土
苔テラリウムの土には、苔を植え付けやすく、傾斜などの造形がしやすいものが適しています。苔は非常に根元が細いので、土の粒子は細かいほどベター。粒子が細かいと、水が染み込みやすく土の形もつけやすくなります。養分・雑菌のない土
苔は、養分をあまり必要としない植物です。草花用などの培養土は、カビや藻が生える原因になるため、苔テラリウムには使えません。市販しているものから選ぶのであれば、養分や雑菌のない赤玉土やバーミキュライトがおすすめです。ただし、できる限り粒が小さいものを選ぶようにしましょう。園田さんは、赤玉土とバーミキュライト、ピートモスを配合した、とても粒子が細かいオリジナルの土を使っています。通販でも購入可能ですよ。
苔テラリウムに適した容器|水槽・ビンは使える?
容器の主な種類
苔テラリウムに使う容器には、密閉できるふた付きの「クローズド式」(画像右)と、ふたのない「オープン式」があります。「苔むすび」では、さらに独自に開発した「セミオープン式」(画像左)の容器も使用しています。クローズド式
ただし、クローズド式は常に容器内が湿度100%と、自然界にはない高湿度の環境を作ります。そのため苔がひょろひょろに徒長してしまうというデメリットも。クローズド式でも徒長しにくく、きれいに育つ苔の種類を選ぶようにしましょう。クローズド式におすすめの苔の種類は、後ほど紹介します!
オープン式
オープン式はふたがないため乾燥しやすく、環境の影響を受けやすい容器です。管理が難しいこともあり、初心者にはあまりおすすめできません。セミオープン式
100均の瓶や水槽もOK!
基本的に、苔テラリウムの容器はどんなものでも使えます。透明なものであれば、100均で販売されている小瓶や、大きな水槽でも苔テラリウム作りは可能です。ただし、乾燥を防ぐため、容器にふたをすることを忘れずに。ふたは光を遮らないよう、必ず透明なものにしてください。苔テラリウムに適した苔とは?
苔の種類の選び方
苔テラリウムに使う苔の種類は、使用する容器のタイプによって変わります。クローズド式の容器では、高い湿度でも耐えられ、徒長しにくい苔を選ぶと良いでしょう。セミオープン式の容器は、水やりなど管理に少々コツが要りますが、ほとんどの苔を育てることができます。
園田先生おすすめ!クローズド式容器でも使える苔の種類
・ヒノキゴケ
・タマゴケ
・オオシラガゴケ
・ムチゴケ
・ツルチョウチンゴケ
・ホウオウゴケ
自然に生えている苔は使える?
道路脇などに生えている苔は、カビが生えやすいためテラリウムでは上手く育てられません。都市部のものよりも、森に生えている苔の方が育てやすく、テラリウムに向いています。苔テラリウムにはキットや完成品も!
「今すぐ苔テラリウムを作りたい!」という人や「材料をそろえるのが面倒」という人には、苔テラリウム作りに必要なものがセットになったキットがおすすめです。「苔むすび」オリジナル・苔テラリウムキット
「苔むすび」のウェブショップでも、キットが購入可能です。土や苔、石などの基本の材料が揃ったキットと、基本の材料にピンセットや霧吹きなどの道具がセットになった2種類から選べます。基本の材料がそろったキット
基本の材料+便利な道具のキット
ほかにもいろいろ!苔テラリウムキット
リンゴ型の容器がかわいいキット
LED照明がついた制作キット
手作りが苦手な人には完成品も
「苔テラリウムが欲しいけど、手作りは苦手」という人は、完成品を購入してみては?「苔むすび」のおしゃれな作品も通販で入手可能!
おちょこけ 苔テラリウム
小さなガラス製のおちょこを使った、シンプルでかわいらしい苔テラリウムです。ホソバオキナゴケのかたまりをわざわざバラバラにし、ちょこちょこと少量ずつ土に植え付け直すことにより、モコモコとした姿を演出しています。
・サイズ:直径6×高さ6cm
・サイズ:直径6×高さ6cm
苔テラリウムの完成品はほかにも!
苔テラリウムの日常管理・お手入れは?
適した置き場所
自然の中では、基本的に日陰で生育している苔。実は暗い場所が苦手な植物なのです。日陰と言っても室内よりは明るいので、苔にはある程度の光が必要になります。苔を元気に育てるには「読書ができるくらいの明るさ」が基準。窓がない暗い部屋でも、電球や蛍光灯の灯りがあればOK!ちなみに、直射日光は容器の中に熱がこもり、高温になってしまうので絶対にNGです。
適した温度
苔は寒さには強いですが、夏の暑さには注意が必要です。35℃を超えると、黒ずんだり、茶色くなって傷んでしまうことも。また、菌が繁殖しやすくなるというリスクも高まります。水やり
水やりの頻度は、容器のタイプや環境などによってかなりの差が出ます。ここでは容器のタイプ別に大まかな目安を解説しますが、基本的には土の渇き具合を見ながら水やりをすることをおすすめします。クローズド式
霧吹きで、2週間に1回を目安に水やりします。水を与え過ぎてしまった場合は、余分な水分をティッシュで吸い取ってあげましょう。容器内についた水滴は、水垢の原因になるので拭き取ってください。セミオープン式
水差しを使って、表面がまんべんなく湿る程度に水を与えます。土がグショグショになるのは、水のやり過ぎです。最適な土の湿り気具合
上の比較画像で見ると、右から2~3番目のような土の湿り気具合が適しています。容器の内側に、土の粒子が付着するぐらいが一番ベストな状態になります。
苔テラリウム|Q&A
Q. 苔テラリウムにカビが生える原因は?
園田さん
土に雑菌が含まれているとカビが生えることがあります。外で採取した苔を使用する場合、基部(根元部分)についた土をよく洗い流さないと、雑菌を持ち込むことになるので注意しましょう。また、暗い場所で過湿気味にするのもカビが生える原因になります。
Q. 虫が発生した!どうしたらいい?
園田さん
虫も苔の基部に付着していることが多いです。販売されている苔はほとんど心配ありませんが、万が一虫が発生してしまったときは、殺虫剤で駆除してください。
Q. 苔が黄色くなるのはどうして?
園田さん
いろいろな原因があるので一概には言えませんが、季節性による紅葉や老化現象、菌が原因による変色、直射日光での退色などが考えられます。
Q. 苔テラリウムでメダカやエビなどの生き物は飼える?
園田さん
大きめの水槽など、十分なスペースがある容器なら可能です。ただし、苔は水を嫌う性質のものが多いので、種類選びは必要になります。
楽しく簡単!苔テラリウム作りに挑戦しよう
興味のある人は、ぜひチャレンジしてみてください。小さな苔の世界に、きっと魅了されるはず!