5つ星お米マイスターに聞くお米の保存方法Q&A
マイスターとはドイツ語で「名人」「巨匠」という意味の言葉です。5つ星お米マイスターとは、日本米穀小売商業組合連合会が主宰する資格で、受験資格はお米に関する専門職経験がある人のみが受けることのできる「お米の博士号」なんです。
全国からおいしいお米を探し出し、お米の品質を見極め、お米のおいしさを知り尽くしている5つ星お米マイスターに私達ができるお米の保存方法について聞いてきました。
Q.精米後と玄米で保存期間に差はありますか?
A.玄米は1〜3年、精米後は1カ月
保存状態にもよりますが玄米の場合1〜3年位です。この場合の管理温度としては、15℃前後の低温管理を心掛けて下さい(外気との差10℃以下がより望ましいそうです)。精米後はお米の酸化が進みますので保存場所は冷蔵庫、特に野菜室での管理が望ましいですが、それでも1カ月位で食べ切ることがベストです。
Q.精米後おいしく食べられる期間はどのくらい?
A.賞味期限は1カ月
夏場は30℃を超えると食味も見た目も激しく劣化します。春〜夏にかけての賞味期限は1カ月、秋冬でも2カ月と考えましょう。やはりお米のマイスターとしては精米したてのお米を食べて頂きたいのですが、少なくとも1カ月で食べきれる量をこまめに購入することが一番おいしくお米を食べられる秘訣です。
Q.お米の保存場所ってどこが良いの?
A.冷蔵庫の野菜室
精米されたお米の保存場所のポイントは「温度」と「湿度」なんです。1. 温度
少なくとも20℃以下の環境で保存します。10℃以下にするとさらにお米の保存場所としてより好ましくなります。温度を低温にすることで、虫やカビ、臭いの発生を抑えることができるんです。
2. 湿度
お米の保存で厄介なのはとくに梅雨の時期。湿度が高い日本の気候です。最適なお米の保存に適した湿度は、55〜75%程です。3. 冷蔵庫
温度、湿度共にこの環境を1年中可能にできるのは、やはり冷蔵庫ですね。一般家庭が使用する冷蔵室の温度は約2℃~6℃、野菜室は約3℃~7℃なので、野菜室での保存はお米がベストコンディションでいられる場所なんです。
4. NGな保存場所
以上のことから考えて一番ありがちな保存場所で、一番置いてはいけない場所は「流し台の下」です。とにかく20℃を超える暑すぎる場所や、湿気の多い場所での保存はさけ、冷暗所で保存してくださね。Q.おすすめの保存容器って?
A.ペットボトル・密封袋
米袋のまま保存する方がいますが、米袋には小さな穴が空いているのでお米の乾燥が進み、虫が侵入することもあり酸化も進んでしまいます。また、お米自体にも無数の小さな穴があいている構造から、臭いを吸収しやすい性質があります。臭い移りを避けるためにも密封された保存容器で保存しましょう。
ご家庭にあるペットボトルや密封袋は、キャップなどで締めることができるため臭い移りを防ぐことができるおすすめの保存容器です。
Q.炊いたご飯ってどうして黄ばんでしまうの?
A.長時間保温と洗米不足
米ぬかが付着した状態で炊飯したり、炊きたてのお米を長時間保温状態のままにするとご飯が黄ばむことがあります。これはアミノ酸と糖分の化学変化により黄ばんだもので、アミノカルボニル反応またはメイラード反応などと呼ばれる現象なんです。だからといってそんなに力を入れて洗わなくても大丈夫です。昔と違って今は精米技術が進んでいるので、洗い水をお米に吸収させることのないように気を付けて、手早くお米を洗いましょう。
炊いたご飯はラップなどで包んで冷蔵または冷凍保存をして、食べるときに電子レンジで加熱した方が黄ばまずおいしく食べることができます。
お米の保存方法まとめ
米袋そのままはNG!
じつは穴があいてるって知ってました?
一般的な米袋はよく見ると小さな穴が空いています。この穴から空気が入ることによりお米の酸化が進みます。このお米の酸化の状態をイメージしやすいように例えられるのがリンゴです。リンゴを切った時、少し時間が経つと切り口が茶褐色になります。精米されたお米も皮を剥がされた状態ですので、空気に触れることで酸化が進むのです。
穴が空いていることでこんな問題が!
お米の害虫お米が大好きな害虫に「コクゾウムシ」「コクヌストモドキ」「ノシメマダラメイガ」などがいます。たまにお米の中に虫がいたということを聞きますが、恐らくこの虫の仲間たちです。精米されてから1ヵ月を越えると発生しやすくなるようです。臭い移りお米自体にも無数の小さな穴があいている構造から臭いを吸収しやすい性質なのに、米袋にも穴が空いているということは強い匂いの影響をもろに受けてしまいます。
お米の炊きたてのよい香りが半減してしまわないように、臭い移りは厳禁です。
対策
害虫の生育が盛んな温度を避け低温で保存し、発生しやすい1カ月を越えない期間で食べきり、臭い移りや害虫が侵入しないように密封保存することが一番の対策になります。皆さんもこれ以降は、米袋に入れたまま高温多湿状態で保存しないように気をつけましょう。
米びつ保存は大丈夫?
米びつのメリット・デメリット
ほとんどのご家庭で使われているお米の保存容器の代表格「米びつ」はお米の保存に適しているのでしょうか?米びつは、1合2合など、お米の定量を測ることができるためとても便利な保存容器です。しかし、密封できる作りにはなっていないため虫の侵入を防ぐことができません。
また、米びつを使用していると酸化された古いお米のカスが残るため、掃除などこまめにする必要があります。
害虫の忌避剤
米びつの虫の忌避剤として、食品にも安心して使える唐辛子や、唐辛子を使った米びつ専用の防虫剤が市販されています。試しに使ってみてはいかがでしょうか。正しい米びつでの保存方法
1. 米びつの中を空にして、古いお米のカスをきれいに取り除きます。2. 米袋から出し、米びつに移します。
3. 市販のお米専用の防虫剤や唐辛子を設置して害虫忌避をしましょう。
おすすめの保存容器
計量器付きなので便利!
横にして冷蔵庫の棚に、縦にして冷蔵庫のドアポケットにも収納OK!湿気を防ぐパッキンが付いているのでお米をしっかり密閉し、精米の鮮度を保ちながらお米のおいしくさを維持できます。お米を計量するときは付属のカップに片手で注ぐように計ることができます。
透明容器なので冷蔵庫をあけるたびお米の残量をひと目でチェックすることができるため、うっかりお米を買い忘れるなんてこともなくなりそうですね。

ペットボトルで保存するときに便利!
買ってきたお米を米袋からペットボトルに移すとき、一番困るのが「お米がこぼれる」ということです。そんなときに便利なのがお米専用の「ろうと」。お米をしっかりペットボトル に移した後もペットボトルに装着させたまま、今度は計量カップの役割もはたしてくれるすぐれものです。

100均の密封容器
100均の商品でもしっかり密封し冷蔵庫の野菜室で保存することによって、十分お米の品質を保つ事ができます。冷蔵庫でのお米の保存の手始めに気軽に用意できる商品がそろいます。お米の精米段階とおいしい炊き方
精米とは
精米の段階ごとの扱い方
精米の状態 | 洗い方 | お水に浸ける時間 | 水加減 | |
玄米 | お米屋さんが農家から仕入れる状態 | 強くとがずにさっと洗います | 10時間 | 多め |
3分つき米 | 玄米に近い状態で糠が付いている | 胚芽が取れない程度に優しく洗います | 5時間 | 少し多め |
5分つき米 | 胚芽が残っている状態です | 胚芽が取れない程度に優しく洗います | 3時間 | 少し多め |
7分つき米 | 胚芽が残っている状態です | 胚芽が取れない程度に優しく洗います | 2時間 | 少し多め |
精米 | 糠が除かれた状態です | 軽く2~3回程度で洗います | 1時間 | 目盛通り |
お米屋さんと上手にお付き合い
お米の正しい保存方法が分かったら、さらにおいしくお米を食べるためにお米の種類をたくさん把握しているお米屋さんとお付き合いしてみるのはいかがでしょうか。現在日本で作られているお米の種類は800種類を超え、市場に出回るお米の品種も270種類以上と言われています。お米はとても奥の深い食品です。日本人なら毎日食べるご飯ですから、ご自身の嗜好にあったお米に出会って日本食を充分に味わいたいですね。
ご飯のおいしい炊き方
1 しっかり計量
お米専用の計量カップを使って計量します。お米のおいしさの秘訣は水加減にありますので、お米1合あたり180ccをしっかり量りましょう。2 最初の水はすぐ捨てる
お米自体にも無数の小さな穴があいているため臭いだけでなく、水分も吸収しやすくなっています。お米を洗った水には余分な糠が含まれています。きれいな水を吸収されるためにも洗米の水はすぐに捨てましょう。3 優しくとぐ
昔の精米方法と違い、現在の精米技術は格段に進んでいます。お米自体を粉々に潰してしまわないように、さっと洗い流しましょう。4 しっかり吸水
精米の段階ごとにお水に浸ける時間が違います。精米したお米なら1時間を目安にしっかり水を吸わせ、炊飯器のスイッチを入れましょう。5 蒸らしてから余分な水分を飛ばす
炊きあがった合図から10〜15分ほど蒸らし、炊飯器のフタを開けてしゃもじでお米を潰さないようにふっくらと混ぜ合わせます。余分なお米の水分を飛ばしたら、お茶碗に盛り付けましょう。教えてくれたのは…
今回お米の保存方法について教えてくださったのは、お米のプロ「五つ星お米マイスター」のいる新潟県の大黒屋さんです。米どころ新潟県産の自慢のコシヒカリがそろう大黒屋さんではお米の販売もしておりますので、サイトの方をぜひご覧下さい。大黒屋:http://www.kome10.com/index.html