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水辺の小さな生態、ビオトープ。目に涼しく美しいのはもちろん、四季の移ろいや生き物たちのバランスの妙など自然を身近に感じさせてくれます。ビオトープの作り方やレイアウトの仕方、容器、入れる生き物などを解説しています。また、手軽に始められるビオトープセットも紹介します!
ビオトープとは
ビオトープとは、人工的に作った小さな生態系とその環境のことを言います。水辺の環境を再現したものが主流。よくある例では、メダカを入れた水連鉢に水草や土、貝や水上で育つ植物などを植えたものがあります。ビオトープでは食べたり食べられたりといった小さな食物連鎖が見られます。また小さいながら、虫やカエル、鳥などが集まってきたりと、生き物の集まる場にもなります。室内水槽での飼育と違い、水替えや餌やりといった手がかからないのも魅力の一つです。
ビオトープの作り方の基本
ビオトープの作り方は様々あります。ここでは基本的な作り方、ポイントを解説します。
ビオトープの作り方の流れ
1.材料の準備
容器(水鉢)、底床材、水、石、植物、生物(魚・貝)を用意します。おすすめの生き物や鉢について詳しくは後ほど解説します。2.水道水のカルキ抜きをする
水道水には小生物に有害なカルキが含まれています。一度沸騰させてからさます、直射日光に1~2日当てる、カルキ抜き剤を使うなどの方法でカルキ抜きをしましょう。また、井戸のくみ上げ水や池の水など、もともとカルキが含まれていない水の場合省きます。3.底床材を容器に敷き詰める
底床材を容器の底に敷き詰めます。植物が根を張るため、また微生物が繁殖するために必要です。4.石や流木をレイアウトする
石や流木を置きます。高低差があるほうが、見た目にも良く、生き物にとってもよい環境となります。5.水草、植物を植える
カルキ抜きした水を少量入れ、水草や水上植物を植えます。浮草でない、そこに根付くタイプの水草は、浮いてこないようにおもりを付け、しっかりと植えます。水上植物は土を入れたポットをそのまま沈めます。6.水を入れる
カルキ抜きした水を静かに流し入れます。直接注ぐと勢いで底床材が舞い上がってしまうため、容器のふちに沿うように流し入れます。7.生物を入れる
生物を水の入った袋ごとしばらく容器に浮かべます。これはいきなり環境が変わったことに魚がびっくりして調子を崩さないためです。1時間ほど置いたら袋の口を開け、生き物が出ていくまでおいておきます。無事生物が容器の中に入ったら袋を回収してセット完了です。ビオトープはセットしたら出来上がりではなく、時間とともに生物の循環が生まれて成長していくものです。日々様子を観察し、時々手入れをしてあげましょう。
ビオトープにおすすめの生き物
生き物
メダカ
ビオトープの定番と言えばメダカ。寒さにも強く、室外でも元気に育ちます。繁殖もしやすいので、こどもが増えていくといった楽しみも。金魚(和金)
もう一つの定番が金魚です。和金という日本の金魚が良く使われます。もともとフナの仲間で汚れた水にも強く、長年生きます。背中の赤がビオトープのアクセントに。ヌマエビ
苔や魚の食べ残しなどを食べてきれいにしてくれるエビ。ヌマエビは初心者でも飼育しやすい仲間。体の大きめのヤマトヌマエビや、繁殖が簡単なミナミヌマエビなどが人気です。貝
ぜひおすすめしたいのが貝を入れておくこと。日向に置くビオトープは苔や藻が繁殖しやすいです。這いまわりながら苔や藻を食べてくれる貝はビオトープのお掃除屋さん。特にタニシやカワニナはきれいな水質を保ってくれると人気です。水草
初めてなら浮草が簡単。金魚のお供として定番のぷっくりと膨らんだ茎がかわいいホテイや、水連のような丸い葉が美しいフロッグビットがおすすめ。また、底植えには金魚藻として有名なマツモやアナカリスは失敗のない水草です。植物
根は水中でも、葉や花は水上まで育つ植物を植えると、外からの生き物が飛来しやすくなり、より生態系が豊かになります。また、季節の花が咲く楽しみも。花しょうぶやカキツバタ、ミソハギなどは美しい花を楽しめます。ビオトープ用の鉢や舟など。入れ物の種類
ビオトープをやるには入れ物が必要。ある程度大きさがあり、水が漏れないものなら大丈夫。水連鉢やプラスチックの舟、発泡スチロールの箱などで作っている人も。
お手軽にいきたいなら発泡スチロール箱
冷凍食品や魚が入っていた発泡スチロールの箱でも実はビオトープが作れます。コストパフォーマンスだけでなく、保温性が高いという利点も。ただし耐久性は低いので結局また鉢を買って移すことになりがち。自由研究などで一時的にやりたいという場合にどうぞ。ベランダや室内ならおしゃれな睡蓮鉢
見た目にも美しくいきたいなら睡蓮鉢がおすすめ。昔ながらの睡蓮鉢からモダンなものまでさまざまな種類があります。玄関前やベランダなど、来客の目が留まる場所にもぴったり。おすすめの睡蓮鉢はこちらの記事で。
大きめがいいならプラスチックの「舟」
大きなサイズでやりたいならプラ舟がおすすめ。もともとコンクリートなどの攪拌作業用のもので、耐久性はばっちり。~120Lの大容量も。工業用なので、大きい割に安いのも嬉しいところです。プラスチックやFRPの専用容器
ビオトープ用の専門容器や、FRP製の睡蓮鉢もあります。FRPは樹脂と繊維質を混ぜた丈夫で軽い素材で、船などに使われています。プラスチックやFRPは大きくても軽いのがメリット。女性一人でも軽々持ち上げられます。庭でやるなら防水シートで池を作るという選択肢も
庭でやるなら容器を使わずに、穴を掘って防水シートで池を作るという手もあります。ただし、水が漏れないようにちゃんと施工するのは大変なので、初心者にはおすすめしません。レイアウトのポイント
1.高低差を出す
高低差を付けることで動きなる魅力的なレイアウトに。また、それぞれの植物にあった水深を用意でき、植える植物の幅も広がります。あぜなみで仕切りを作り砂利と土を入れる、石や素焼きの鉢を使って高さを出す、などの方法があります。2.後ろに背の高い植物を、手前に低い植物を
後景となる場所に、水上に高く伸びるカキツバタやガマなどを配置し、中景に背の低い水上植物、手前に睡蓮などの浮草を配置します。それぞれの植物がきれいに見えるだけでなく、奥行きを感じるデザインになります。3.水上に出る流木や岩でアクセントを
水上に飛び出すように流木や岩を組むとレイアウトのアクセントとなります。配置を工夫すれば自然の風景を切り取ったような印象に。例えば流木を飛び出るように配置すれば、自然の湿地や湖の一部のような雰囲気がでます。4.滝や川など自由にアレンジを楽しんで!
ビオトープは自由度が高いことも楽しさの一つです。シンプルに睡蓮とメダカを楽しむもよし、植物を茂らせて自然の湿地風にするもよし、ポンプを使って滝を作る猛者もいます。自由な発想でレイアウトを楽しんでください!お手軽に始めるならビオトープセット
始めたいけれどなんだか大変そうだな、と思った方にはセットがおすすめです。水槽用品で有名なチャームが、鉢や用土はもちろん、水草やメダカなどの生き物も一緒になったセットを出しています。不安がある人はセットから始めてはいかがでしょうか?初心者向けの睡蓮・メダカのセット
睡蓮鉢、睡蓮、メダカ、土など必要なものが揃ったキット。個別にそろえるより安いお値段も魅力です。睡蓮もメダカもよく育っていると評判。初めてならこのセットで!楽々レイアウト!寄せ植え付きセット
高さのある水辺植物の寄せ植えを含むので、ポットをそのまま沈めるだけで簡単にレイアウトができます。睡蓮やメダカも含まれており、これだけあれば始められるセットです。こだわり派に!益子焼で雰囲気抜群
ビオトープの見た目にこだわるなら鉢は超重要。メダカの隠れ家がついた益子焼の鉢が落ち着いた雰囲気を醸し出します。室内でビオトープを楽しみたいなら
涼しげなガラスの睡蓮セット。室内の窓際などで楽しめます。鉢とスイレン、専用土のセット。メダカなどの生体はついていないので、別途購入してください。ビギナーにぴったりな水辺植物セット
小型のビオトープで使用するには丁度いい量の植物のセットです。発送日に状態の良い水辺植物を選別してくれます。ビオトープ管理士って?資格について知ろう
ビオトープは個人の楽しみとして行うだけでなく、学校での授業やまちづくりなどにも取り入れられています。そのため「ビオトープ管理士」という資格があります。自治体の環境調査の入札の際の条件となったり、環境コンサルタント事業で有資格者として優遇されるなど活用されています。日本生態系協会が主催しており、下記サイトから申し込むことができます。http://www.biotop-kanrishi.org/
ビオトープで小さな生態系を楽しもう
ビオトープの水辺は小さな生態系。まるで自然の一部です。見ていると自然の美しさや不思議さに触れられます。おうちに自然を取り入れて、花や小さな生物などに癒されるのはいかがでしょうか。