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- YumiYamashita
作家・コラムニスト 身体と社会との関わりに関心を持ち、五感、食、日本文化、ヒット商品などをテーマに取材。新聞、月刊誌、週刊誌、大手ニュースサイトにて時事問題からテレビドラマまで幅広く執筆。…続きを読む
でも、ぶどうの「旬」は8月頃から秋にかけて。収穫期が過ぎてしまえばまた一年間、待たなくてはなりません。その「旬」という大きな壁にむかって挑戦を仕掛けているプロジェクトがあります。大地が芽吹く春の時期に、高級生食ぶどうを食卓にお届けしようというのです。その名も「極旬ぶどう」!北半球の日本と季節が逆の南半球のニュージーランドの二カ国でぶどうを栽培し、一年に旬の高級ぶどうを2回楽しむことを可能にする斬新なプロジェクトをご紹介します。
極旬公式ECサイト:https://gokushun.com/
極旬公式Instagram:https://www.instagram.com/goku.shun/
三井不動産発!GREENCOLLARが作る「極旬ぶどう」とは?
日本では一般的に、ぶどうの収穫は8月初旬ごろから始まり、9月下旬ごろまで続きます。一方、南半球のニュージーランドでの収穫は、2月下旬ごろから始まり、4月上旬ごろまでと、日本と真逆。そのため一年に旬の高級ぶどうを2回楽しむことが可能になるというプロジェクトです。
<<日本とニュージーランドのぶどう生産カレンダー>>
なぜ、不動産の会社がぶどう生産に!?代表の鏑木さんにインタビュー
「GREENCOLLAR」代表取締役の鏑木裕介さんを直撃しました。
鏑木裕介さんプロフィール
2007年三井不動産株式会社入社
以降、商品本部内スタッフ業務、オフィスビル法人営業、アウトレット施設法人営業、新規事業創出に従事
2018年三井不動産グループの事業提案制度「MAG!C」に本事業を提案し通過
2019年12月三井不動産株式会社の子会社として、株式会社GREENCOLLARを設立
――なぜ不動産会社が、ぶどう作りを始めることに?
そうですよね、びっくりすると思います。三井不動産の中ですら、最初は「何でぶどうなの?」ってとまどいの声が聞かれたくらいでしたから(笑)。出発点へさかのぼると、三井不動産はこれまで土地の価値を最大化すべく、その立地や特性に合わせた開発をしてきました。例えば、都心駅近くであればオフィスビル、都心近郊であればマンション、郊外であれば商業施設といったように。土地の価値を最大化させ、人々のライフスタイルが豊かになる空間を提供することがメインの仕事でした。しかし今、時代は急速に変化しています。不動産業も以前と同じことを繰り返すだけでは、生き残れません。もっともっと大胆で柔軟な発想と実行力とが求められているわけです。例えば、一見、バラバラ、別々に映っていたもの・ことをつながげたり重ねたりしていった時、そこに新しい価値が生まれてはこないだろうか?
オフィスビル、マンション、ホテルの融合も一つの答えだと思いますし、都心と田舎が融合してもいい。もっと言うと、仕事と仕事以外とが融合してもいいはず。僕としては「働きがい」と「生きがい」を融合させた新しいライフスタイルの実現ができる事業を立案したい、という思いがありました。
――その思いを新規事業の形にしたわけですね。
きっかけはある農家さんとの出会いから
――「ぶどうの生産」というテーマは、いったいどこからきたのでしょう?
その中でも、最高に美味しいぶどうをどうやって作っているのか、栽培現場へ見に行くと、樋口さんはありとあらゆる手を尽していました。コツコツと長年練り上げてきた繊細で丁寧な栽培技術はハイレベル。ぶどう棚の葉の重なり具合を一定に保ち、手間ヒマを一切惜しまずに徹底した品質管理を続けてきて世界一とも言える高い品質を生み出していたんです。
――「極旬ぶどう」というネーミングには、どんな思いを込めたのですか?
GREEN COLLARについて
――社名の“グリーンカラー”にはどんな意味があるのでしょう。
日々の生産の様子などを極旬公式Instagramでも発信しているので、ぜひご覧になってください!
極旬公式Instagram:https://www.instagram.com/goku.shun/
GREENCOLLAR HP:https://greencollar.co.jp/
極旬公式ECサイト:https://gokushun.com/
ニュージーランドでぶどう栽培をする樋口さんにインタビュー
2015年からニュージーランド・ホークスベイ地方で日本品種のぶどう栽培をしている葡萄専心株式会社・樋口哲也さん。2019年から「GREENCOLLAR」の事業に参画し、生産指導責任者として仕事をしています。今の時期、ちょうど地球の裏側のニュージーランドで仕事をしている樋口さんにリモートでインタビューをしました。
樋口哲也さんプロフィール
農業生産法人 葡萄専心株式会社 代表取締役社長
山梨県笛吹市のぶどう農家に生まれる。1998年、父の引退を機に家業を継ぎぶどう栽培の道へ。2015年にニュージーランドでのぶどう栽培に着手し、日本とニュージーランドの2拠点生産を実践。2019年から「株式会社GREENCOLLAR」の生産指導責任者として参画。若い世代の就農支援にも積極的に取り組んでいる。
ニュージーランドでのぶどう栽培について
――日本と季節が真逆ということは、そちらは今夏ですね。
そう、今日も暑いよ。半袖のTシャツを着て仕事しています(笑)。最初は僕だって、南半球のことなんて何一つ知らなかったんですよ。――ニュージーランドでぶどう栽培を考えたきっかけは何だったのでしょう。
もやもやしていた時に、ふと妻が「南半球なんかどう?」って。思いつきで口にした一言だろうけど、「あっ」とひらめきました。日本の反対側の南半球なら、ちょうど日本で休みに入る時期に栽培を始めることができるからね。
手当たり次第にネットでチリ、アフリカ、オーストラリアについて調べ、ジェトロ(日本貿易振興会)の人などに現地の情報をもらったりしていくうちに、ニュージーランドが一番よさそうだな、と絞り込みました。
――季節が逆というメリット以外にもぶどう生産に適した条件があったのですか?
――ニュージーランドでの栽培方法と日本での方法に違いはありますか?
基本的には同じです。ニュージーランドでも日本と同様、棚式での露地栽培を貫いています。僕ら「メイド・バイ・ジャパニーズ」と呼んでいますけど。ハウス栽培ではなく露地での栽培にこだわるのは、太陽と大地の力を最大限吸収してぶどうのポテンシャルを引き出せる方法だからです。ぶどうは生きているから、どんどん葉っぱが伸びて重なりあってしまうでしょ。そうすると棚下に光が入らなくなるんですね。だから常に葉っぱが2、3枚重なりあう程度にしてぶどうの棚下を同じ明るさのきれいな木漏れ日が差し込むように整えていく。
きれいな木漏れ日が差し込む状態は、ぶどうにとっても心地よい環境で、その心地よさがおいしさになっていくんですよ。こういう繊細な工夫は、ニュージーランドでも、いや世界中でも日本の農家以外にやっている人はいないと思います。
気になるニュージーランドで育つぶどうの味は?
――実際にニュージーランドで生産して、ぶどうの味の方はいかがですか?
ニュージーランドで栽培すると一段と色と味わいが濃くなり、食べた人は「今までで一番美味しいぶどうですね」って言ってくれます。実際に、日本のトップパティシエたちにも送ってみたんだけれど、みんな「すごく味が深い」と絶賛してくれています。
樋口さんとGREENCOLLARとの出会い
――三井不動産のGREENCOLLARとの出会いについて、最初はどんな印象でしたか?
あれは2015年だったかな。人づてに紹介されて小泉慎さん(現GREENCOLLAR NEWZEALAND LIMITED代表取締役)がはるばるニュージーランドまで訪ねてこられたのね。正直、会った第一印象は「なんだか会社員らしくないな」(笑)。自分と同じ匂いがしたというのかな、働くのも遊ぶのも暮らすのも楽しくなきゃいや、みたいな感覚があって、ピタっときたんですよ。とはいえ、三井不動産の新規事業として「ぶどう作りをしたい」と言うんだから、かなりの変人だと思ったね(笑)。それからあっという間に意気投合して、小さな農家と大手不動産会社とが力を合わせて“極旬ぶどう”を栽培し世界中に流通させよう、日本ブランドを発信して世界一の商品にしよう、いう挑戦というか野望が響きあったんだよね。もっと言うと、この事業をきっかけに、世界へ向けて、日本の農作物のすばらしさをアピールしていきたいと思っています。その結果、日本の農作物の輸出増加につながればよいかな、と。
――GREENCOLLARと組んだことで、一番変化したことは何でしょう?
例えばこの気温ならこうした方がいい、この土なら水分はこうといった、勘による判断、直感的なノウハウ、肌感覚でやってきたことを全て数値化しデータにしていくわけです。気象データとぶどうの生育データを組み合わせて相関関係を探したり、生産のコツを誰でもわかるように文字や映像で記録したりしています。これなら新たに就農しようという人に、正確かつ効率的に栽培ノウハウを伝えていけるでしょう? 後継者の育成、日本の農業の技術継承ということが実現できる仕組みを作りつつあります。
もちろん、データだけで完結するのでなく、そこに手仕事としての経験知(=経験+知識)と丁寧で細かな作業が加わってはじめて、世界一美味しいぶどうの生産者が誕生する、というわけです。
いよいよ日本でテスト販売が開始!
――そうして生産された「極旬バイオレットキング」「極旬巨峰」がいよいよテスト販売ですが、生産者としてはどんな風に楽しんでもらいたいですか?
冷蔵貯蔵やハウス栽培ではなく、太陽と大地の力を思い切り吸収した極旬ぶどう。美しく輝く大粒のぶどうの背景には、豊かな人生を送るライフスタイルの提案や日本の農業の未来像が浮かび、人々の知恵や情熱のストーリーが躍動しています。いよいよ「極旬 バイオレットキング」「極旬 巨峰」を食べることができる日も間近となりました。2021年3月、日本上陸。以下の「極旬公式ECサイト」、「極旬公式Instagram」にて販売開始予定をお知らせします。ぜひご賞味あれ!
極旬公式ECサイト:https://gokushun.com/
極旬公式Instagram:https://www.instagram.com/goku.shun/
パテシエ絶賛!樋口さんのぶどうは味が深い。
樋口さんの作るぶどうに魅了された日本国内のパテシエや料理研究家の方々にその味わいについてお伺いしました。野澤倭歌菜シェフ (パスカル・ル・ガック)
たくさんの種類のぶどうの中でも、このバイオレットキングは大好きなぶどう同士の交配になるのでわたしの好きな味で間違いない!と思って食べたら、滴る果汁を吸いながら、鼻から抜ける香りと程よいハリ感に想像を越える味わいとバランスに脱帽しました。
チーズやピーナツとの相性抜群のぶどうパフェ
いろいろな品種が一度に楽しめるのは、パスカル・ル・ガックだけかと思います。まるでぶどう狩りに行った気分になれます。
個性豊かなぶどうたちですが、一つのグラスに入れるとすんなりまとまって、チーズやピーナッツとの相性も抜群です。
店名:パスカル・ル・ガック
フランスのサン・ジェルマン・アン・レーを拠点に、2009年から2013年にはパリ・サロンデュショコラにおいて、C.C.C.(Club des Croqueurs de Chocolat)から、最高評価である5タブレットを5年連続で受賞。 2014年度は最高位の金のタブレットを受賞するとともに、「フランスで欠かすことの出来ないショコラティエ」にも選ばれるなど、フランスで最も注目されているショコラティエです。
2019年、満を持して東京・赤坂にオープンし、多くのパスカル・ル・ガックのファンが来店しております。
HP:http://www.legac-chocolatier.jp/
金子博文シェフ(銀座WEST
一期一会のおいしさを楽しめるぶどうスイーツ
その年の味わいに合わせて微調整しながら樋口さんのぶどうが引き立つパーツを組み立ててスイーツ作りをしています。毎年一期一会のおいしさを楽しめるスイーツを作ることができるのが樋口さんのぶどうの魅力です。
店名:銀座ウエスト
創業以来守ってきた伝統を守りながら生菓子部門に於いては、季節の味覚の提案をさせていただいています。
HP:https://www.ginza-west.co.jp/
古屋浩さん(株式会社プロヴィンチア 代表取締役)
果皮の弾けるような食感の後に追いかけてくる柔らかで濃厚な甘さ、そして果肉の芳醇な旨味も合わさって感動的な味わいを楽しめます。
また豊富な種類も魅力的です。
ぶどうのマリアージュを楽しむフルーツプレート
プレートで召し上がっていただく最大の魅力は、別品種のブドウを一度に口に入れることによって生まれるマリアージュを体験できるところです。ワインがいくつかの品種から成り立つ奥深い味わいを持っていることを、ブドウで体感されることでしょう。
店名:ぶどう屋kofuハナテラスcafé
山梨の有数の観光地でありながら果物販売という点ではやや弱さを持つエリアにおいて、山梨の果物を正しく紹介できる店舗を目指しています。ハナテラスcaféで大切にしている事は素材とのマリアージュです。クリームやソルベなどは果実を中心に設計されており、素材の素晴らしさを引き立てる事に徹しています。作り手が一年掛けて丹精込めて作った果物を尊敬し、ひとつひとつ作りあげます。
HP:https://www.budoya-kofu.com/cafe?lang=ja
並木麻輝子(料理ジャーナリスト)
こんな変人まずいない(笑)!我が子のようにぶどうを育てる樋口さん
普通は、どんなものを作るにしても、人の都合に合わせて流れを組み立てると思うんですが、樋口さんは、畑に長い時間いて、ぶどうの声を聞きながら、ぶどうの都合に自分を合わせている気がします。人間の方から寄り添う感覚だから、ぶどうものびのびと育ち、あそこまでポテンシャルを引き出してあげることができるんだろうなと。商品というより、我が子を育てているような感じに近いですね。あとは、自己満足でなく、常にその先にあるみんなの笑顔のために努力を惜しまないことも、樋口さんのぶどうの味わいに一役買っていると思います。
取材などで、海外でも多くの農家を訪れているんですが、こんな変な人(褒めてます!)まずいない。逸材だと思います。
樋口さんによる、NZ産のぶどうにも期待しています!
(プロフィール)並木麻輝子 なみきまきこ
料理ジャーナリスト ヨーロッパ郷土料理・菓子・食文化研究家。パリの料理学校ル・コルドン・ブルーの製菓・料理上級課程修了(グラン・ディプロム取得)。ヨーロッパで現在のキャリアをスタートし、二十数年に渡り世界各国で取材。プロ向けの専門誌をはじめ、書籍、雑誌、ガイドブックなどに幅広く執筆するほか、大学、専門学校などで各国の食文化の講義を行う。その他、コーディネーター、食品企業アドバイザー、ラジオ、講演など、食関係のあらゆる分野で活躍中。取材や食関係ツアーのアテンドで、年間の海外訪問地数30カ所以上。食と並び旅のエキスパートとしても知られている。
春に出回る極旬ぶどうは稀少で絶品!
ニュージーランドでのびのびと育った「極旬 バイオレットキング」「極旬巨峰」が2021年3月に販売を開始します。冷蔵貯蔵やハウス栽培ではない、露地栽培・完熟の「極旬ぶどう」を食べられるのは、春のこの時期だけ。販売開始は極旬公式ECサイトなどでお知らせ予定です。ぜひチェックしてみてくださいね。
極旬公式ECサイト:https://gokushun.com/
極旬公式Instagram:https://www.instagram.com/goku.shun/
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