農業ロボットで仕事が変わる。導入のメリットと課題は

大手メーカーからベンチャーまで、多くの国内企業が進出する農業ロボット分野。自動収穫機ロボットをはじめ、除草ロボットや運搬ロボットなど農業の自動化、無人化を促進する、今注目しておきたいさまざまな製品をご紹介します。


ロボットと人の手

出典:Pixabay
日本の農業における大きな課題、担い手不足、労働力不足を解決する手段として、注目を集めているのがロボティクス技術です。スマート農業において、ロボットはあらゆる面で活躍しています。意外と知られていない、画期的な技術を紹介するとともに、農業ロボットが切り拓く日本の農業の未来について考察します。

ベンチャーも続々参入!高性能農業ロボットの今

ロボット
出典:写真AC
さまざまな分野で活用が進む産業用ロボット。農業においても、ロボットが活躍する場面が増えてきました。酪農では搾乳も給餌もロボットが行い、ハウスの中ではトマトやアスパラなど作物の収穫をするロボットの姿が見られます。

農業ロボットの種類

前述のロボットのほかに、無人での自動運転・遠隔操作可能な高性能ロボットトラクター、受粉ロボットや除草ロボット、植物工場などがあります。

農業ロボットのメリット

農業ロボットを利用することで、農業者は労働への負担を減らしながら生産性の向上も目指せます。ロボットトラクターを活用することで、最小限の人的リソースでも規模の拡大を狙えるようになるかもしれません。

市場規模の拡大はまだ先

畑
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しかし、これら最新の技術を用いた機器は高価であることが多く、導入コストが高いのがネックです。現段階では、一部の大規模農家向けの技術といえます。一般的な農機具と同様に広く流通するのはまだ先のこととなりそうですが、人手不足や高齢化など日本の農業の問題を解決するために、今後はより身近な存在となっていくでしょう。

メーカーやベンチャーが現在開発中・販売中の農業ロボット

コーディング
出典:写真AC
労働力の低下や担い手不足などの課題を解決に導く農業ロボット。注目しておきたいメーカーとその技術についてご紹介します。

複数台を同時に圃場に投入!ロボットトラクター|ヤンマーホールディングス株式会社

提供:ヤンマーホールディングス株式会社
トラクターに乗車することなく、タブレットのコントローラーで作業を操作できる、自動走行トラクターは、現在国内のメーカー各社が開発・販売しています。

ヤンマーホールディングス株式会社のロボットトラクターは、有人機と無人機の2台を同時に使って、2つの作業を一人で行うことも可能です。春の畑おこし作業など、同じ圃場で複数のトラクター作業が必要な際に、作業時間を大幅にカットできるようになります。

自動運転中にエンジンが停止すると、自動でブレーキがかかるセーフティブレーキ機能も搭載されています。人手不足と生産性向上の両方を一度に叶えてくれるトラクターです。

農家の右腕に「FARBOT」|銀座農園株式会社

FARBOT」は、農作物の収穫作業をサポートしながらセンサーで環境測定も行うスマートアグリ・モビリティ。追従モード/手動モードで50kgの収穫箱を最大で2つ(合計100kg)運べます。栽培エリアを自律走行、ジョイスティックによる主導操舵も可能です。また、収穫数をカウントして、栽培エリアごとの収量の可視化を実現します。

2020年5月販売予定のこのロボットは、今後施肥や除草、害虫駆除機能を付加できるようさまざまなシステムを開発中です。収穫などの農作業とあわせてAIによるデータ分析も行える多機能なロボット、開発を手掛けるのはスマート農業を推進するベンチャー企業、銀座農園株式会社です。

自動植物栽培ロボット「ロボファーム」|アトラス株式会社

アトラス株式会社が提供する「ロボファーム」は、農地対応型の全自動栽培ロボットです。工場で生産した装置を現場に設置することにより、システム導入時の大幅なコストダウンが可能になります。

さまざまな自然災害が多発する近年の日本では、農作物の安定した生産と供給が求められています。災害対策を講じた建物内で野菜を栽培するロボファームなら、天候や災害に影響を受けずに生産できるのもメリットです。

栽培環境はパソコンから簡単にチェック・指示できるので、これまでの農業と併用しても作業負担がほとんどかかりません。ロボファームは加工場までの搬送に無人自動搬送ロボットを採用しているほか、CO2センサや温湿度センサ、水位水温センサ等搭載のAI+IoT全自動栽培・食農クラウド「アマテラス」によりロボファーム内の栽培環境の最適化も自動で行えます。

レタス日産3万株「テクノファームけいはんな」|株式会社スプレッド

植物工場
提供:株式会社スプレッド
株式会社スプレッドが運営する人工光型植物工場、「テクノファームけいはんな」では1日およそ3万株のレタスの生産が可能です。ロボティクス技術やIoTを駆使した工場内には研究開発施設も併設。
自動化栽培、環境制御技術、AI技術(実験中)、水のリサイクル、専用LED照明と最新の技術を駆使した植物工場で栽培された野菜は、「ベジタス」ブランドとして全国に出荷されています。

これまで人が行っていた栽培にかかわる作業を自動化し、栽培効率の向上を見込めます。

開発中のミニトマト収穫ロボット|株式会社スマートロボティクス

スマートロボティクス
提供:株式会社スマートロボティクス
自動台車の上に設置したロボットアームで収穫してくれる「ミニトマト収穫ロボット」を株式会社スマートロボティクスが現在開発中です。すでにビニールハウス内での実証実験を行っており、2020年に販売予定。

AIによる画像認識システムを活用して、収穫適期のミニトマトだけを自動で収穫してくれます。ミニトマトの収穫は、サイズが小ぶりで傷つきやすいため、自動化への難易度が高いといわれています。ところがスマートロボティクスの自動収穫機なら、1個当たり約15秒でヘタを付けたまま収穫可能とのこと。

利用する農業者の金銭的負担も軽減するため、収穫時期のみ利用可能なレンタル式を検討中です。

農家の相棒ロボット「アグビー」|株式会社agbee

提供:株式会社agbee
人に追従して自動で走行する、運搬ロボット「アグビー」は、「楽しい農業ライフ」を提供する農家の相棒です。農業における中腰作業、重い荷物の運搬作業を軽減。生産者がどこを歩いても追従し、畑の形状を覚えて自動で農薬散布や草刈りもしてくれます。次世代型運搬ロボットアグビーは、「新しい農家としての働き方」を提案します。

開発元の株式会社agbeeは、中西金属工業株式会社と慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の5年にわたる共同研究・開発の後、事業化を目指して2019年7月に設立。現在も、同社の開発・経営のパートナーである中西金属工業株式会社と連携し、次世代型農業ロボットの開発に取り組んでいます。

合鴨がロボットに!水田用除草ロボット|IKOMAロボテック株式会社

水田に合鴨を泳がせることで水が濁り、光合成を阻害するため雑草の生育を抑制する効果が期待できる合鴨農法。環境にやさしい栽培方法として知られていますが、従来の合鴨農法では、除草・害虫の防除効果が安定せず、また合鴨の飼育に手間がかかるなどの課題がありました。

IKOMAロボテック株式会社は合鴨をロボット化。安定的な水田の除草作業に大きく貢献しています。車体の両側についた車輪と本体後方にある車輪で雑草を掘り起こし、土壌から剥離させて枯死させます。走行中、稲株を検知して回避するので、稲を傷つける心配もありません。小型ながら機能は十分。持続可能な農業の実現にも役立つロボットです。

農業ロボットを導入して今後の経営に役立てよう

システムエンジニア
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IT技術や機械化によって人々の生活が変わるのと同時に、農業分野でも先進技術を駆使したスマート農業が主流になっていくと考えられます。限られた人的リソースの中で生産性の向上を目指すのなら、ロボティクス技術の導入を検討しましょう。収穫など、大変な作業の体への負担も軽減してくれます。

ただし、現段階ではロボットを導入しても完全に自動化できる状況ではありません。作業にはロボットと人の協働が不可欠です。

本記事で紹介した製品以外にも、多くの農業用ロボットが開発・提供されています。各社の技術の粋を農業に活かし、事業拡大・経営安定に役立ててみてはいかがでしょうか。

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高橋 みゆき

北海道在住のフリーライター。北海道の畑作農家に生まれ、高校卒業後に農業協同組合に入組。JAでは貯金共済課の共済係として、窓口にて主に組合員の生命保険・損害保険の取り扱いをしていました。退組後、2013年まで酪農業に従事。現在はスマート農業に興味津々。テクノロジーを活用した農業についてお伝えしていければと思います。

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