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基準の一つに、国が定めている「特別栽培米」というものがあります。ここでは、その特別栽培米の制度についてお伝えします。また、特別栽培米を多く扱う「AKOMEYA TOKYO in la kagū」を訪問。米のプロ「お米コンシェルジュ」にお話を伺いました。
特別栽培米とは?
特別栽培農産物に係る表示ガイドライン
このガイドラインには、特別栽培農産物の生産の原則として、「農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学合成された農薬及び肥料の使用を低減することを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培方法を採用して生産すること」が定められています。
つまり、特別栽培米は、自然の生態系を守るために化学合成された農薬や肥料をなるべく使わないで栽培された米なのです。
特別栽培と有機栽培との違いはこちらをチェック!
特別栽培米の表示例
特別栽培米の表示も、ガイドラインで定められています。ただし、この表示は強制ではなく任意のものとされています。表示が禁止されている言葉
消費者が誤ったイメージを持ちやすいため、現在は「無農薬」「無化学肥料」「減農薬」「減化学肥料」という表示は、禁止されています。特別栽培米の中には、無農薬で育てられた米も含まれます。表示例
表示内容 | 備考 | |
1 | 農林水産省新ガイドラインによる表示 | 「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」による表示ということを示す |
2 | 特別栽培米 | 特別栽培農産物の名称 |
3 | 農薬の使用 | 栽培期間中農薬を使用していないことを示す。「節減対象農薬」を使用していない場合には「節減対象農薬」と記載 |
4 | 栽培責任者の氏名または名称、住所及び連絡先 | 生産者や生産・出荷組合、農協など |
5 | 確認責任者(※1)の氏名または名称、住所及び連絡先 | 生産・出荷組合、農協、第三者の認証団体など |
6 | 精米確認者(※2)の氏名または名称、住所及び連絡先 | 販売者団体、生産者団体、第三者の認証団体など 玄米の場合には表示されないこともある |
※2 とう精等の実績を調査、確認する者
表示内容 | 備考 | |
7 | 節減対象農薬の節減割合の表示 | 比較の基準は地方公共団体が定めたもの、または農業協同組合等が定め、地方公共団体がその内容を確認したもの |
8 | 節減対象農薬の使用状況(※) | 生産過程等において使用した節減対象農薬の名称、用途、使用回数 |
特別栽培米をもっと知りたい!「AKOMEYA TOKYO」でお米のプロに聞く
AKOMEYA TOKYOのコンセプトは「お福分けの心」。「福」とは、商品で表現するなら、地元にしかないおいしいごはんのお供のような小さな喜び。そんな福を集めて、日本の暮らしを提案しています。
AKOMEYA TOKYO in la kagū
ADRESS:東京都新宿区矢来町67番地
OPEN:11:00-20:30
TEL:03-5946-8241
URL:https://www.akomeya.jp/store_info/store/sinlakagu/
AKOMEYA TOKYOのお米のプロ「お米コンシェルジュ」
AKOMEYA TOKYOには、米に詳しく、商品選びについてアドバイスをしてくれる「お米コンシェルジュ」が在籍。今回はそのお米コンシェルジュの蒔田さんにお話を伺ってきました。蒔田 祥之 さん
AKOMEYA TOKYO in la kagū 店長
AKOMEYA TOKYOの旗艦店であるAKOMEYA TOKYO in la kagūの店長。
ブランド創設より在籍し、スタッフの中でも数名しかいないAKOMEYA TOKYOが定める「アコメヤお米コンシェルジュ」を取得。
お米の種類だけではなく炊き方や保存方法、お好みに応じたごはんのお供なども紹介してくれます。
販売される米は26種、そのうち特別栽培米が19種も
おいしい米には生産者のこだわりが詰まっている
「特別栽培米だからおいしいとか、特別栽培米だから貴重とは考えていません。むしろ将来的には全部の米が特別栽培米になるのではないか、とさえ思っています。そのくらいお米の生産者さんは意識の高い方が多いですね。特別栽培米がおいしいというのは、一定以上のこだわりを持っている生産者さんだからというのが理由ではないでしょうか」
AKOMEYA TOKYOの米の中で、人気NO.1は山形県の黒澤ファームが作る「つや姫」。高級和食店なども利用するこの特別栽培米は、土壌にサクランボの花からとれるはちみつと海藻エキスをまいているそうです。特別栽培米は安全性の一つの指針
特別栽培米は地域によって基準が異なる点に注意
「特別栽培米は地域によって基準が違うため、安全性の一つの指針と認識した方がいいですよ」と蒔田さん。消費者自身が安全性の基準をどこに持つかによって、受け止め方はかわってくるもの。より正確に判断するためには、単純に特別栽培米というだけでなく、どこの地域の特別栽培米なのか、その地域がどのような基準を設定しているかを知る必要があります。一番確実なのは、生産者のホームページを見ること。どのように生産されているのかを直接知ることができます。毎日食べるものだからこそ
特別栽培米は、健康や子どものために、また贈り物などの用途で選ばれています。値段は1kgあたり1,000円前後ですが、毎日食べるものだからこそ、農薬や化学肥料を控えたものを選ぶと安心できるのでしょう。蒔田さんに、2019年産のおすすめのお米を聞いてみると新潟県の笠原農園が作る「コシヒカリ」を推薦してくれました。「生産者の方に熱意があり、農薬の散布を極限まで減らしています。しっかりとしたねばりがあるのに、冷めてもおいしいですよ」
米は品種が多く、味の種類も値段もさまざま。どのように選んだらよいのか迷ってしまいそうですが…。ライフスタイルやニーズに合わせて米を選ぶ
「ワインだったら、辛口がいいとかフルボディがいいとか、好みがありますよね。値段も高いものから普段使いのものまで。毎日食べるお米も、そのように選ぶことがあっていいのではないでしょうか。自分のライフスタイルに合わせた付き合い方をするといいですよ。日常に楽しみが一つ増えると思います」
「AKOMEYA TOKYO in la kagū」では、お米コンシェルジュが好みに合わせて、適切な商品を選んでくれるほか、その場で精米してもらって、1kgから購入することができます。おいしい特別栽培米を取り寄せてみよう!
身近にいろいろな種類の米を取り扱っているお店がないなら、ネットで取り寄せてみるのも一つの方法。情報を比較しながら、米を選んでみてはいかがですか?北魚沼産コシヒカリ
新潟県長岡市のふるさと納税返礼品。化学肥料や農薬を慣行基準の50%&以下に削減して栽培し、雪室で貯蔵したブランド米です。ミルキークイーン
岐阜県池田町のふるさと納税返礼品。もっちりした食感が特徴のミルキークイーンを、農薬・化学肥料50%以下で栽培しました。森のくまさん
2019年産の米の食味ランキングで「特A」評価を獲得した「森のくまさん」。一般的な栽培方法から農薬と化学肥料の使用量を50%以上カットしています。特別栽培米を選ぶことで得られることがある
また、その中でも特別栽培米を選ぶことは、化学合成肥料や化学合成農薬への依存が少ないものを選んでいることになります。それは、産地の土壌や生態系を豊かにすることにつながります。豊かな生態系は、土壌を健全に保ち、作物を病害虫から守る効果も。特別栽培米を選ぶことが、自然の恵みを末永く受けることにつながるのかもしれません。