2019年冬の二十四節気(にじゅうしせっき)と農業の関係

農業にまつわる冬の節気。立冬や冬至など、冬の二十四節気と七十二候、雑節の読み方や意味を紹介します。2019年の二十四節気一覧のカレンダーと共に、月の満ち欠けをもとにした季節を感じながら、昔ながらの農業に想いを馳せてみませんか。


二十四節気、冬、農業

Illustration:rie
天気予報がなかった時代、1年の中に節目を作って暦に表し、それを目安に農作業の計画を立てていました。現代にも暦にまつわる昔ながらの風習が残っています。
農作業と日々の生活が密接だった時代にはどんな生活をしていたのか、農業にまつわる二十四節気から読みとっていきましょう。
※二十四節気とは、1年の季節の移ろいを24等分の節目で表された暦。

2019年二十四節気一覧と読み方

冬の二十四節気を紹介します。
季節 二十四節気 新暦日付


 
 立冬(りっとう)  11月8日
 小雪(しょうせつ)  11月22日
 大雪(たいせつ)  12月7日
 冬至(とうじ)  12月22日
 小寒(しょうかん)  1月6日
 大寒(だいかん)  1月20日
参考:国立天文台

▼1年分の二十四節気一覧はこちらをご覧ください。

冬の二十四節気

二十四節気、冬、農業
出典:Pixabay
気温が下がり、寒さが増して冷たい水も凍る季節。植物は生育が衰え、翌年の芽吹きまで静かな眠りにつきます。
冬の二十四節気は、ほかの季節と比べて農業に直結する言葉がぐんと減り、植物や動物が冬を迎える様子が伺える文言でつづられています。この時期に行なわれる農業の1年の締め括りと、翌年に向けての農作業の準備の様子を中心に紹介します。

冬支度を始める立冬

二十四節気、冬、農業
出典:Pixabay
鈴虫の声も少なくなったころ、作物の収穫も終わり、1年の農作業を振り返りながら、田んぼや畑に残っている作物の葉や茎、根などの残渣(ざんさ)を取り除きます。病気にかかった株をそのままにしておくと、病原菌が残渣で冬を越し、翌年の耕作にも影響が出てしまうので、田畑の片付けを終えるまで農作業の手は緩められません。
片付けを終え、ようやくひと段落ついたかと思えば、今度は収穫した作物を保存の効く乾物にして冬の食料として蓄えます。

防寒対策

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撮影:rie
冬の間畑でゆっくりと生育し、春に収穫を迎える作物に、稲わらなどを用いて暖をとる、作物の越冬の工夫がなされていました。
積雪で作物が潰れないように「わらぼっち」というわらの家のような防寒を苗に施したり、株元にわらを敷いて根元を温めるなど、一つひとつ手作業で作物を守る手法は今も残っています。

落ち葉集め

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出典:写真AC
秋に落葉する広葉樹の葉で、土壌改良にも使われる堆肥「腐葉土」を作ります。この腐葉土を作る仕事も大切な冬の農作業の一つです。

寒さが増してくる小雪

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出典:Pixabay
旧暦では10月にあたる時期。標高の高い地域や北国の方では、そろそろ雪がちらつき始める季節です。
※旧暦とは1872年12月3日を1873年1月1日とした新暦(グレゴリオ暦)以前に使用されていた、月の満ち欠けと太陽の動きから作られた太陰太陽暦。

新嘗祭

勤労感謝の日として祝日に制定されている11月23日は、古来からの宮中行事「新嘗祭(にいなめさい)」であり、現在も日本各地の神社で秋の収穫に感謝し、翌年の豊作をお祈りする大切な日です。
「しんじょうさい」ともいう新嘗祭は、宮中の中で天皇陛下が天照大御神(あまてらすおおみかみ)と天神地祇(てんじんちぎ)と呼ばれる全ての神様に新穀をお供えし、天皇陛下も共に食事をして新たな力を得て、翌年の豊作を約束する儀式です。

あえのこと

石川県の奥能登では、毎年2回、年の暮れ(12月5日ごろ)と、春(2月9日ごろ)に田の神様へおもてなしを捧げる「あえのこと」が行なわれます。「あえ」は「おもてなし」、「こと」は「祭り」という意味です。
年の暮れに田んぼから田の神様を家にお迎えして、能登近郊で採れた山や海の幸でおもてなしの御膳とお風呂捧げ、春になるまで家屋の中で過していただきます。翌年の立春を迎えるころ、再びおもてなしをして、田の神様を田んぼへお送りし、その年の豊作を祈念します。

冬至

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出典:写真AC
冬至は1年で太陽の高さが最も低く、夜が一番長い日です。
この日の夜は、冬至=湯治にかけて、湯船に柚子をいれ、1年の垢落としをします。
食事には、運気がつくようにと「ん」のつく大根、人参、レンコン、コンニャクなどの食材を食べて縁起担ぎをしていました。
畑で育てた食物によって英気を養い、豊作を願う。農業が生活の中心だったことが伺えます。


冬の七十二候

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出典:Pixabay
二十四節気は1年を24等分の節気で表したものですが、1年を72等分にした七十二候(しちじゅうにこう)もあります。それぞれの節目が俳句の一語のように記されています。
冬の七十二候には、寒さが増す中にも生き物や植物の密かな鼓動が聞こえそうな言葉でつづられています。

閉塞冬成(そらさむくふゆとなる)

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出典:Pixabay
空には冬の雲が立ち込め、北海道や標高の高い地域では雪が積もり始めるころ、農作業も休みに入ります。

こと納め、こと始め

12月8日は農作業を締めくくる「こと納め」の日とされ、大掃除が始まり、年神様を迎える準備へと向かい、2月8日の「こと始め」まで農作業はお休みです。
この両日は「事八日(ことようか)」と呼ばれ、地域によってはお正月の準備に合わせて12月8日を「こと始め」、2月8日を「こと納め」とする所もあり地域によって異なるのが特徴です。

雪下麦出(ゆきわたりてむぎのびる)

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Illustration:rie
暦ではお正月を迎え、立冬のころにまいた麦の種が雪の下で芽を出すころです。このとき、田の神様のご先祖様である年神様をお迎えします。
三が日に降る雨は「御降り(おざかり)」といわれ、その年は豊作になるしるしとされました。
冬の正月と夏のお盆は、収穫への感謝と豊作の祈願、そしてご先祖様を敬う半年に一度の儀式とされています。

芹乃栄(せりすなわちさかう)

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Illustration:rie
寒い中でも芹が力強く生えてきます。冬にも芽を出す植物の力をいただいて、1年の健康を願う1月7日は春の七草をいただく日です。

春の七草
せり なずな ごぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ これぞ七草

「春の七草を言ってごらん」と、親によく言われたものです。
せり=芹、なずな=ペンペン草、ごぎょう=ハハコグサ、はこべら=ハコベ、ほとけのざ=タビラコ、すずな=カブ、すずしろ=大根。

英気を養う冬の二十四節気

二十四節気、冬、農業
出典:Pixabay
農業における冬の二十四節気は、雪が積もる季節に向けて冬越しの準備や、1年の収穫への感謝を捧げ、翌年の豊作を願う行事が中心です。
1年の農作業を無事に終えると、春から始まる忙しい日々に向け、植物とともに農業を営む人々も、しばしの休息をとって、新たな気持ちで良い年をお迎えしましょう。

▼夏と秋の二十四節気はこちらをご覧ください。
参考文献:白井 明大(著)有賀 一広(イラスト)(2012)『日本の七十二候を楽しむ-旧暦のある暮らし-』東邦出版
本間美加子(著)井上文香(イラスト)(2019)『日本の365日を愛おしむ-毎日が輝く生活歴-』東邦出版
久保田豊和(著)市川興一(イラスト)(2016)『新版 暦に学ぶ野菜づくりの知恵-畑仕事の十二ヶ月』家の光協会

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植栽・菜園の管理業務を経験。田舎の農業に支えられてきました。「自分の手で作れる力」を信じ、木工、動画・写真編集、イラスト製作など、手作りの仕事も経験し、学び続けています。