農業用遮光シートで、農作物の生産性・品質アップを!

ここでご紹介する遮光シートは窓や車に貼って暑さを防ぐものではなく、農業用の遮光シート。高温期のハウス栽培で温度を調整したり、育苗での水分蒸発を防いだりします。家庭菜園なら、100均やニトリで取り扱いのある遮光グッズを代わりにしても暑さを防げそうですね。


ビニールハウス内の苗

出典:写真AC
農作物を育てるのに大切な光や温度を調整する遮光シート。特に気温の上がる時期には、光や温度のコントロールが重要になってきます。温度が上がり過ぎないようにすることで、水の蒸発も防ぐことができます。

農業で使う遮光シートってどういうもの?

畑のネギ
出典:写真AC
遮光シートは、太陽の光を遮って温度の上昇を抑える資材。高温に弱いホウレンソウなどを遮光栽培すると、暑さから農作物を守れます。それと同時に、栽培期間を延ばすことも可能になります。また、白ネギなどは遮光することで白い部分を増やすことができます。

遮光シートには、遮光率が40%程度のものから99.9%くらいのものまで種類がそろっています。遮光することで徒長気味になる農作物もありますので、単純に遮光率が高いものがベストではありません。農作物の特性に応じて選ぶといいでしょう。

遮光シートはどういう効果がある?

栽培中のシイタケ
出典:Pixabay
遮光シートの効果は、太陽の光を遮ることによる温度の抑制と、光を好まない植物に日陰、半日陰を作ることにあります。

高温を苦手とする農作物

年々暑さが厳しくなる中、露地、ハウス栽培ともに暑さによる農作物の生育障害が問題になっています。高温障害を起こしやすい野菜に遮光シートは効果的です。

野菜の高温障害

種類 高温障害を起こす温度と障害
トマト 30℃以上で花粉の機能低下
35℃では同化作用よりも呼吸作用が大きく、炭水化物の消耗が大となる
ナス 30~32.5℃以上で花粉の機能低下
キュウリ 30℃以上で花粉の機能低下
カボチャ 35℃以上になると雌雄花の分化に異常をきたす
インゲン 30℃以上で花粉の機能低下
ハクサイ
キャベツ
25℃以上で発育弱く、発病多い
ジャガイモ 21℃以上でイモの形成不良、29℃でイモの形成肥大がまったく行われない
ほかに、ホウレンソウ、ダイコン、シュンギク、レタスなどは生育の限界気温が25℃となっています。花きにも高温を苦手とするものがあります。

光を好まない農作物

植物が生長するのには光が必要ですが、中には強い光を好まない植物もあります。弱光線、暗所を好む植物には遮光シートが効果を発揮します。

野菜の光適応性

光適応 野菜の種類
強光を必要 スイカ、トマト、ナス、ピーマン、サツマイモ、エンサイ、ササゲ、オクラ
比較的強光を必要 キュウリ、カボチャ、メロン、ショウガ、サトイモ、ヤマイモ、カブ、ダイコン、ニンジン、ゴボウ
比較的弱光に耐えるもの イチゴ、菜類、ネギ類、ソラマメ、エンドウ、ハクサイ、キャベツ、サンショウ、ユリ
弱光線を好むもの セリ、ミツバ、ワラビ、フキ、レタス、ミョウガ、キノコ類
暗所 マッシュルーム、軟白野菜(ウド、ミツバ、ミョウガ、ズイキイモ、アスパラガス、チコリー、モヤシ)

遮光シートでの遮光栽培によるデメリット

畑のほうれん草
出典:Pixabay
高温に弱いホウレンソウは、生育促進のために遮光栽培が行われています。ところが、近年の研究により、遮光栽培をすることでホウレンソウのアスコルビン酸の含有量が減少することがわかりました。アスコルビン酸というのはビタミンCのこと。人に有効な成分であることは言うまでもなく、植物にとっても有効な抗酸化物質です。逆に、有害な硝酸が増える可能性も指摘されています。

また、ホウレンソウに限らず、農作物は遮光することによって葉の色が薄くなったり、徒長気味になることもデメリットとされています。

遮光シートを使った栽培方法

栽培中のトマト
出典:Pixabay

トマト

トマトは、夏期のハウス内の気温上昇を防ぐために遮光フィルムを使用します。
日射量の増加の影響による放射状裂果や、日焼けなども防ぐことができます。

ホウレンソウ

かつては栽培の全期間を遮光していましたが、デメリットがわかってきたため、収穫前に遮光シートを除去することが推奨されています。
草丈が約20cmに達した時点で、夕方に遮光除去作業を行います。翌日以降は葉水を行い、葉焼けなどに注意します。
遮光材を除去してから7~10日経過後、2日間の晴天の日を経た午前中に収穫します。

農研機構『高温期ホウレンソウの品質向上マニュアル』

軟白ネギ

軟白ネギは、草丈70~80cm、葉鞘径2cmくらいに生長してからホワイトシルバーの遮光シートを取り付けます。この時、白くしたい部分よりやや高めに取り付けるのがコツ。
遮光後約1カ月後に収穫できます。

農研機構『遮光フィルムを用いた白ねぎの軟白栽培技術』

キノコ

キノコは埋め込み時から遮光シートを用います。200lux程度が最適なので、遮光率80%以上のものを選びます。

兵庫県立農林水産技術総合センター『きのこ栽培マニュアル』

育苗

発芽したばかりの芽
出典:Pixabay
暑い時期に種まきをすると、発芽した苗が高温で枯死することも。種をまいたあとに、遮光シートをかけたり、トンネル被覆したりすることで発芽が安定します。

おすすめの農業用遮光シート

短日処理や温度上昇の防止に。花き栽培などに

ITEM
トーカン ホワイトシルバー
キク、トルコキキョウなどの花き栽培の短日処理に。ホワイト面は反射率が高いため、ホワイト面を外にして施工すると高温を防ぎます。また、シルバー面は紫外線の反射率が高いので虫の忌避にも。

・サイズ:1.8×100m
・遮光率:完全遮光
・色:ホワイト、シルバー

ほぼ太陽光を通さないシルバーの遮光シート

ITEM
トーカン フリールーフ シルバー
遮光率が99%以上のシルバーシート。ほとんど太陽光を通さないので、農作物の倉庫などにも向いています。1m単位の切り売りです。

・サイズ:幅640cm
・遮光率:99%
・色:シルバー

遮光率99.9%の白いシート。キノコ栽培などに

ITEM
タキロンシーアイ スカイコート 白白コート5
遮光性、遮熱性の高い白いシート。防滴剤でコーティングされているため、長期間の防滴効果があります。キノコ栽培のハウスや、作業小屋、格納部屋に。切り売りです。

・サイズ:幅800cm
・遮光率:99.9%
・色:白

軟白ネギ用の遮光シート。土寄せ不要で収穫作業も楽に

ITEM
東京インキ ねぎパンツ
軟白ネギ専用の遮光シート。これをかぶせれば土寄せが不要になるため、ネギに土が付かず、収穫や皮むきが楽になります。土寄せがないと畝幅(うねはば)を狭めることもでき、収穫増加も期待できます。通気性、透湿性がありカビ発生も抑えられています。

・サイズ:0.5×100m
・遮光率:99.9%
・色:黒

遮光率ほぼ100%!ハウス外張り用の遮光シート

ITEM
三菱ケミカルアグリドリーム ハクリョク
ハウスの外張り用、農POフィルム。ほぼ100%遮光します。白と緑の両面どちらを表にしても使用可能。対候性、無滴性にも優れています。長さは切り売りです。

・サイズ:幅300cm
・素材:ポリオレフィン特殊フィルム
・遮光率:ほぼ100%
・色:白・緑(両面)

【応用編】窓を覆えば室内の暑さ防止にも!

農業用の遮光シートは、遮光率も高く丈夫なのでシェード代わりに使う人もいるよう。ほかにも応用次第で、遮光したい場所にいろいろ利用できそうです。

高いUVカット率、遮光率で暑さを抑えるシェード

ITEM
タカショー クールシェード
こちらは、専用のシェード。UVカット率約85%、遮光率約85~90%で、室内の気温上昇を抑えます。直射日光を当てたくないポット植えの植物もシェードの下に隠れる場所に置いておくと安心です。

・サイズ:2×3m
・素材:ポリエチレン
・遮光率:約85~90%

暑さ対策はますます重要に!

広い畑
出典:写真AC
年々暑さが厳しくなり、遮光シートを使った栽培はさらに大切になってきています。遮光シートの利用は効果的な手段ですが、デメリットがあるのも確か。遮光の期間や遮光率を確認しながら導入していけるといいですね。

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UNIZON
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ガーデニングや料理、DIYの取材、執筆経験が私生活でのレベルアップにつながっていかないのが悩みの種。 所属会社のユニゾンは、Webやペーパーメディアの企画立案から制作まで行っています。