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ライター - murasaki
DIYなどのものつくりや植物系のガジェットが好き。
屋上で菜園をしたり、自作器具で水耕栽培をしたりしています。…続きを読む

出典:写真AC
水耕栽培の植物の成長にムラがある、露地栽培の野菜がうまく育たない、それは養液や土のpH(酸性、アルカリ性の程度)が適していないのかも。養液や土の状態は長年の経験がないとなかなかわかりませんが、pH計があれば客観的に測定できます。pHを管理するためのpH計について、そもそもどんなもの?仕組みは?おすすめのpH計は?などの疑問に答えます。
pH管理はなぜ必要?
pH(ピーエイチ)とは、物質を水に溶かした液がどの程度酸性かアルカリ性かを表すもので、0~14の段階で表します。植物はそれぞれ、弱酸性を好むもの、中性を好むもの、弱アルカリ性を好むものがあります。植物に合ったpHに保つことで成長を良くすることができますし、pHが適していなけれ成長が悪いどころか枯れてしまうことも。でも、土を通って根から吸収される水のpHは土地によってさまざまですし、水耕栽培の養液は水分の蒸発や雨によってpHが変動します。そのため、pHを測り、適切な植物を選んだり、植物に合った状態を保ってあげることが必要なのです。
ph計とは?計測器を使えば簡単・正確

出典:PIXTA
pHの計測といえば、リトマス試験紙が思い浮かぶ方も多いのでは?pHは試験紙や試験液でも測ることができます。でも、読み取りが不正確になってしまったり面倒だったり。pH計は体温計のような形でpHを簡単に正確に測れる機械です。小数点以下の値も数字で読み取れるので正確に結果が分かりますし、簡単に使えるので水耕栽培の養液管理など頻繁に使う場合に便利です。
仕組み
多くのpH計では「ガラス電極法」というものを使っています。電極を測りたい水溶液につけたときにに生じる電圧の差を読み取っています。下記でもう少し詳細に説明します。
pH計の3大定番メーカーはここ!
堀場製作所
国産初のガラス電極式pHメーターを開発した老舗メーカー。「LAQUA」シリーズのコンパクトpHメーターは測定性能が高く安定性もあり、どんなレベルのユーザーでも使いやすいと人気があります。
横河電機
工業計器の最大手メーカー。耐久性の高いハンディな同社製品の特徴は、データメモリやアラーム機能といった多機能で性能が高いこと。酸化還元電位(ORP)が一台で測定ができる製品も揃っています。
東亜ディーケーケー
環境計測から化学分析、幅広い分野のニーズに応える高性能な計測機器に定評があります。見やすい表示器、データメモリの機能、PC機器など外部に接続対応のものまで、幅広いpH計を扱っています。
pH計のおすすめ7選
人気・定番のおすすめpH計を紹介します。
1. 水耕栽培に対応。人気の水質測定器|Proster TDS ECメーター
Proster TDS ECメーター
水耕農業、熱帯魚飼育において最も基本となる指標のTDS ECがいつでも測れる人気の水質測定器です。温度補正機能も付いていて精度が高く、初心者にも対応できます。
・測定範囲(TDS):0~9990ppm
・分解能:pH0.01
・精度:±2%
2. 水槽から水耕栽培まで|エコペーハー pH測定器
エコペーハー pH測定器
熱帯魚水槽用などに適している水質測定器です。ボタン一つで自動校正。電源のオートオフ機能と計測値の安定を自動的に感知するオートロック機能付き。
・測定範囲:pH0~14.0
・精度:±0.2%
3. コンパクトなポータブルタイプ|シンワ測定 デジタルpH計
シンワ測定 デジタルpH計
pH値の測定が手軽にできる、現場での水耕栽培や土壌のpH管理に最適なデジタルpH計。コンパクトでポータブルタイプです。片手で測定ができて便利です。
・測定範囲:pH1.0~14.0
・分解能:pH0.1
・精度:pH±0.1
4. pH計の老舗堀場製作所の「LAQUA」シリーズ|LAQUAtwin pHメーター
堀場製作所 LAQUAtwin-pH-11B
堀場製作所の水質測定器シリーズ「LAQUA」のpHメーターは、0.1mLからの微量試料を平面センサに滴下するだけで測定可能。コンパクトなボディとケースで持ち運びも簡単です。防水構造は保護等級IPX5。
・測定範囲:pH2.0~12.0
・分解能:pH0.1/0.01
・精度:pH±0.1
5. 驚きの低価格!簡易タイプのpH計|Hommy デジタルpH計
Hommy デジタルpH計
簡易タイプの小型で高性能なデジタルpH計。使い方はとても簡単なので、初めての方でも安心です。1,000円未満で購入でき、しかも自動校正機能付き!
・測定範囲:pH0.00~14.0
・分解能:pH±0.2
・精度:pH±0.2
6. データロガー(記録計)
記録式だから変化がわかる|アズワン データロガーpH計
アズワン データロガーpH計
記録用にSDカードにデータを保存してパソコンに取り込んみ、Excelでデータを編集することが可能です。バックライト付きなので、暗所での測定にも。
・測定範囲(pH/ORP):pH0~14/-1999~+1999mV
・分解能:pH0.01
・精度:pH/±0.02+2dgt、ORP/±0.5%+2dgt
7. 土壌用
土を測るならこれ。pH以外も測れる土壌測定機|KKmoon 土壌テスター
KKmoon 土壌テスター
土壌測定に適した機能が搭載された土壌用のpHテスターです。操作が簡単で持ち運びに便利なコンパクトなボディに、バックライト付きの大型液晶画面。低バッテリ表示や自動オンオフ機能付き。
・土壌温度測定範囲:-9~+50℃
・土壌PH測定範囲:pH3.5~9.0
・精度:1℃
比較表
| Proster TDS ECメーター | エコペーハーpH測定器 | シンワ測定デジタルpH計 | 堀場LAQUAtwin pHメーター | HommyデジタルpH計 | アズワン データロガーpH | KKmoon 土壌テスター |
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分解能 | pH0.01 | pH0~14 | pH0.1 | pH0.1/0.01 | ±0.2% | pH0.01 | ― |
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精度 | ±2% | ±0.2% | pH±0.1 | pH±0.1 | ±0.2% | ±0.2%±0.02+2dgt | 1℃ |
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使用温度 | 0~80℃ | | 5~35℃ | 5~40℃ | 0~50℃ | 0~50℃ | 5~40℃ |
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校正方法 | ボタンで自動校正 | ボタンで自動校正 | 定期的に校正可能 | 最大3点校正 | 自動校正機能 | ― | ― |
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特徴 | 温度補正機能付きで高精度。初心者にも対応 | 淡・海水用の熱帯魚水槽用 | コンパクトで手軽 | 1滴で数値化。測定完了は安定マークでお知らせ。簡単操作でコンパクト | 簡易タイプ。高精度 測定値を小数点以下の2桁に表示 | データをPCに取り込んで編集可能 | 土壌水分、pH値、温度、環境日光強度の測定に |
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参考価格 | 1,200円 | 5,900円 | 7,500円 | 25,400円 | 600円 | 7,800円 | 2,500円 |
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pH計の仕組み
電極を測りたい水溶液につけたときに生じる電圧の差を読み取る、「ガラス電極法」が主に使われています。この方式のpH計の仕組みについて説明します。
ガラス電極式pH計の構造
pH計は、大きくはガラス電極と比較電極の二つの部分からできています。
電極(ガラス電極)
ガラス電極は、電極を内部液に浸し、それをさらに0.1~0.3mmの薄いガラスで覆ったものです。内部液には中性で安定性の高い塩化カリウム(kcl)水溶液が使われます。
比較電極
電位差を発生させるための、もう一つの電極が比較電極です。こちらは測定したい水溶液と同じ条件に電極をするため、ガラス膜ではなくセラミックなどわずかに水溶液を通すもので覆われています(液洛部)。
温度計測
pHは温度により変化します。そのため、温度センサーを内蔵していたり、電極に温度補償電極を利用しているものがあります。
ガラス電極法のpH測定の原理
ガラス電極と比較電極を測定したい水溶液に浸します。すると、電極のガラス薄膜に、内部液と測定する水溶液のpHに比例して起電力が生じます。この起電力を生じた電極の電位と、測定する水溶液の電位である比較電極の電位を比べることでpHを測定します。
pH計の使い方

pH計は基本的に校正→測定→洗浄という順番で使います。
1. 校正
正確な計測のためには、使う前に校正を行う必要があります。はかりのゼロをあわせるようなイメージです。すでにpHが分かっている「標準液」を使います。1種類の標準液で校正する一点校正と、2種類の標準液で校正する2点校正があり、2点校正の方がより正確です。多くの機種では標準液をセンサー部分に垂らし、校正ボタンを押すことで校正が行えます。
校正頻度
使う前に毎回校正を行うのが望ましいです。続けて使う場合でも、少なくとも1日1回は校正を行いましょう。
2. 測定
センサー部分を測定したい液に浸す、もしくはセンサー部分を覆うように液を垂らします。センサー部分に気泡が残っていないように注意。固形物を測る場合は水に溶かして計測します。このとき、水は中性であることが確かめられたものを使いましょう。しばらく待って値が安定したら数値を読み取ります。
温度
pHは温度によって変化します。多くのpH計には補正機能がついていますが、温度の範囲が定められているため注意しましょう。また、正確に変化を測定するためには、温度を一定に保って測定した方が望ましいです。
3. 洗浄
測定が終わったら水、できればイオン交換水でセンサー部分を洗い、清潔なろ紙やガーゼで水滴を拭く取ります。
メンテナンス|内部液の交換と電極の交換
内部液が交換できるタイプの場合、内部液が変質して色が変わったり少なくなってきたら内部液を取り換えます。電極が常に内部液に浸り、乾燥しないようにしましょう。内部液が交換できない場合には、電極ごと交換します。測定する水溶液のpHや測定頻度によって交換のタイミングは異なりますが、内部液・電極は消耗品であることは頭に入れておきましょう。
pH計を使って原因のわかる、客観的な栽培を!

出典:写真AC
うまく野菜を育てるには多くの経験が必要とされています。うまくいった原因は何なのか、失敗した原因は何なのか……。特に水や土に関しては見ただけではなかなか分からないですよね。でも、計測機器を使って数字で測定・記録できれば原因が特定しやすくなりますし、人に伝えるのも簡単になります。まずはpH計から、客観的な栽培を始めてみませんか?
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